no.151
KISS(キッス)U.S.A.
どーもー!
今回はキッスの登場です!
KISS-
恐らくは世界で最も有名なバンドのひとつ。
基本的にはハード・ロックだが
アート牲やメッセージ性は極力抑え、
エンターテインメントに徹した曲作りで
数多くのヒット曲を生み出した。
また、メンバー全員が元の顔が分からなくなるほどの
異様なメイクを施し、
まるでSF映画に出てきそうな衣装をまとい、
火吹きや空中浮遊などを取り入れた
サーカス的なライブ・パフォーマンスも人気を博した。
自分たち自信をキャラクター化した
グッズ販売にも力を入れるなど、
ロック・ファン以外にも広くその存在を
知らしめた功績は大きい。
曲は知らなくとも、メイクした顔や、
有名なバンド・ロゴに見覚えがある、
という人も多いのではないでしょうか。
デビューは1974年初頭。
メンバーは
・Paul Stanley(ポール・スタンレー)g,vo
・Ace Frehley(エース・フレーリー)g,vo
・Gene Simmons(ジーン・シモンズ)b,vo
・Peter Criss(ピーター・クリス)ds,vo
の4人。
’80年にピーターが脱退するまで不動でした。
バンド史上を通して専任ヴォーカリストは置かず、
当初はポール、ジーン、ピーターの3人が
分担で楽器を演奏しながら歌うという、
ハード・ロックでは比較的珍しいスタイルが取られた。
基本的には作者が歌うパターンが多いが
そうでない場合もある。
3人とも声のキャラクターがハッキリしており、
ポールは太い声質ながらハイトーンまでキレイに出る、
いかにもモテそうな声。
ジーンはザラついたワイルドな声質で
シャウトのカッコ良さは一級品。
ピーターは相当なしゃがれ声で渋さが際立つ。
とりわけポールとジーンが歌う比率が高く、
ピーターは第3のヴォーカリスト、という感じ。
また、リードを取れる人が3人もいるんだから
コーラス・ワークも強力。
一方で楽器演奏という面では、
スター・プレイヤーというか、
突出して技術が優れているというようなメンバーはいない。
もちろん下手ではないと思いますが、
少なくともテクニックを売りにするタイプの
バンドではないとは言えるでしょう。
しかし、アレンジ等はよく練られていて、
決して超絶テクニシャンがいなくても、
アレンジ次第で十分に聴かせられるという好例でしょう。
ギタリストが2人いますが
リード・ギターはほぼほぼエースが担当。
しかし時折ポールが弾く時もあるし、
ツイン・リード・スタイルも
ちょくちょく顔を出す。
では、所有アルバム紹介と行きましょう!
・Kiss(1974/1st/国内CD)
好き度★★★★☆
記念すべきデビュー・アルバム。
邦題は『地獄からの使者』。
原題の意味に関係なく、多くのアルバムの邦題に
「地獄」が使われているのが面白い。
後々、長きにわたって本作からの曲が
ライブで演奏され続けてきたが、
その後の作品と少々イメージが違い、
スカスカなサウンドや
重たいと言うよりもモッサリとしたグルーヴ感により
ややアーシーで渋い印象を受ける。
名曲揃いのなか、
⑧「LOVE THEME FROM KISS(キッスノテーマ)」のような
意外な渋いインストも聴ける。
・Dressed to Kill(1975/3rd/国内CD)
好き度★★★★☆
邦題は『地獄への接吻』。
例のメイクはそのままに、ビシッと
三つ揃えのスーツを着こなしたジャケット写真が
超クール!
⑩「Rock and Roll All Nite」の
シングルヒットもあって、それまで
1st=87位、2nd=100位だった全米アルバムチャートで
32位まで上昇。
その⑩はこれ以降、ほとんどのライブで
最後のナンバーとしてステージを締めくくった。
しかしやっぱり音はスカスカだな~
・Alive(1975/輸入LP)
好き度★★★★☆
キッス初のライブ・アルバムで、
邦題はやっぱり『地獄の狂獣』。
初期スタジオ・アルバム3作は音の隙間が多く、
やや渋めの作風でした。
本作はそんなここまでの3作からの選曲だが
よりハード、ラウドな側面を強調したような
ライブならではの高揚感溢れる音作りとなっている。
本作で、スタジオ盤以上にフィーチャーされているのが
エースのリード・ギター。
このひと、「ローリング・ストーン誌の選ぶ
歴史上最も過小評価されている25人のギタリスト」の
第5位に選ばれているらしい(ウィキペディアより)。
殆どの曲が3~4分台で、ソロに充てられるのは
ほんの短い時間。
そんな中で印象的でビシッと決まったソロを
弾き切れるエースは、なるほど確かに
もっと評価されていてもいいでしょう。
・Destroyer(1976/4th/国内LP)
好き度★★★★★
大出世作!
邦題は『地獄の軍団』。
プロデューサーにボブ・エズリンを迎え、
従来のシンプルでストレートな
ロックンロール・サウンドから、
重厚でドラマチックなサウンドへと変貌。
各曲の作者のクレジットには
外部の人の名前も目立つ。
エズリンは、ギターの多重録音を増やしたり、
オーケストラや聖歌隊(かな?)を導入。
①「Detroit Rock City」では、まるで
映画の一シーンであるかのようなS.E.まで使って
このサウンドを作り上げた。
その①は以後、ライブのオープニング曲として
演奏され続けた超代表曲。
私は、中学生の時に本作でキッスに初めて触れ、
その一発で耳に残るキャッチーさと
ドラマチックさに衝撃を受けました。
しばらくはキッスと言えば本作のイメージでしたが、
こうして全部ではないにせよ順序だてて
作品を聴いていくと、
むしろ異質であった事がよくわかります。
・Rock and Roll Over(1976/5th/国内LP)
好き度★★★★☆
邦題は『地獄のロックファイアー』。
『Alive』のプロデューサーだった
エディ・クレイマーを再び迎えて、
前作の重厚なサウンドからストレートなサウンドに
戻った作品。
しかし初期3作のような軽さは無い。
前作で様々な経験を積んだ成果か、
ソングライティングが素晴らしい。
本作からはポール作、ピーターがヴォーカルを取った
⑨「Hard Luck Woman」がヒット。
なんでもこの曲、ポールがロッド・スチュワートに
歌ってもらおうと作った曲だそうです。
確かに、ロッド・スチュワートの
「マギー・メイ」や「ユー・ウェア・イット・ウェル」等、
トラディショナル色を前面に出していた頃の曲に
かなり雰囲気が近い。
ピーターのしゃがれ声も、ロッドを思い起こさせる。
・Love Gun(1977/6th/国内CD)
好き度★★★★★
初めて邦題に「地獄」が使われなかった。
前作に続いてエディ・クレイマーのプロデュース。
ギターの音色は前作よりもやや乾いている。
個人的には、ソングライティングの充実ぶりが
ピークに達しているのでは?と感じます。
特にジーンの曲の冴えっぷりが目立つ。
ポップでワイルドな②「Christine Sixteen」、
珍しくアタックの強い硬い音でのベースラインが
素晴らしい③「Got Love For Sale」他、
繰り返し聴きたくなります。
特筆すべきは、④「Shock Me」で、
初めてエースのリード・ヴォーカル曲が披露されたこと。
これを聴けば、確かに「上手い!」とはならないが、
実に味がある。
あまり歌は得意では無かったのかも知れないが、
この人、後々すごく上達する。
やっぱり続けるって大事ね。
ラストは異色のカヴァー曲、⑩「Then She Kissed Me」。
1963年の女性ヴォーカルグループ、
クリスタルズのカヴァーで、
原曲をそんなにいじっていないにもかかわらず、
キッスのヴァージョンはやや
トラディショナルな香りがするのが面白い。
・Dynasty(1979/7th/輸入CD)
好き度★★★☆☆
大きな成功の裏で、実はこの頃の
バンドの人間関係は最悪だったらしい。
いったんインターバルを取って落ち着くため、
メンバー全員のソロ・アルバム制作が企画される。
それを経て、バンドとして約2年ぶりの新作。
時代はパンク/ニューウェーブ、そして
ディスコ・ビートの時代となっていた。
本作は積極的にそういったものを取り入れた作風
となっている。
特に①「I Was Made for Lovin’ You」は
モロにディスコ・ビート調の曲で、
シングルとして大ヒット。
他にも、ソウル、ファンクに寄った曲が
多く収録され、アルバムとしては売れたものの、
その変貌ぶりに失望したファンも少なくなかったらしい。
しかしまあ、キッスのその後を見ても、
’80年代前半の空前のヘヴィ・メタル・ブームの時も
そういうサウンドを取り入れていたし、
時代の流れに乗ったり取り入れたりして
生き残りを図ってきたバンドであるとも言えますよね。
そんな中、エースの活躍が目立つ。
ローリング・ストーンズのカヴァー、
②「2,000 MAN」と2曲のオリジナル、
⑦「Hard Times」、⑨「Save Your Love」の
計3曲でヴォーカルを取った。
曲調も従来のキッスらしいハードなもので、
エースの存在がこのアルバムをかろうじて
ハード・ロックたらしめいている印象すら受けます。
なお、ピーターは本作制作時、
アルコールとドラッグの影響で演奏が難しく
(バンドに対する興味も薄れていたようだ)、
ほとんどの曲でアントン・フィグがドラムを叩いた。
やけにリズムがタイトだと思ったらそういう事かぁ…
ピーターは自作曲の④「Dirty Livin’」
のみの参加にとどまった。
・Music From “The Elder”(1981/9th/国内LP)
好き度★★★★☆
邦題は『〜エルダー〜 魔界大決戦』。
スタジオ8作目『Unmasked(仮面の正体)』で
より一層ポップ路線を推し進めたものの
セールス的には『Dynasty』を下回り、
バンドの評価も微妙になり始めた。
不参加状態だったピーターが遂に脱退、
あらたにEric Carr(エリック・カー)が加入しての
新生キッスの1作目。
『Music From “The Elder”』というタイトルが示す通り、
同名の映画を制作する予定だったがボツとなり、
用意していた楽曲でバンド初の
コンセプト・アルバムとしてリリースされた。
ストーリーは『スター・ウォーズ』的な
勧善懲悪モノらしいです。
プロデュースは『Destroyer(地獄の軍団)』以来に
ボブ・エズリンを迎え、
オーケストラや合唱隊も起用し
ゴージャスで壮大な世界観を具現化するべく
プログレッシブ・ロック的なアプローチが取られた。
しかし、この企画自体、ジーン以外の3人は
全く乗り気ではなく、
またポップ化が進んでいた近年の作風と
あまりに違うためかセールス的には
かなり下がってしまい、バンド史上としても
汚点のような扱いをされています。
でもねえ、私の個人的な意見としては
コレ、決して悪い内容じゃないと思うんですよ。
キッスだと思わなきゃいいんじゃないかな…
特にアナログ盤A面は、スティクスあたりを
彷彿とさせるアメリカン・プログレ・ハード
になっていて、サウンドもそんな感じ。
B面は従来のキッスが得意とした
アメリカン・ハードロック、
ポップ化が進んだ近年の曲調、そしてすでに
世界を席巻しつつあったヘヴィ・メタル的曲調が
ミックスされたような内容で、
次回作『Creatures of the Night(暗黒の神話)』での
ヘヴィ化への前兆とも考えられる。
私は、かなり好きなんですけど、
世間はKISSにコレを求めていなかった…
という事なんでしょうね。
…私が持っているのはここまでです。
その後キッスは例のメイクをやめて素顔を明かす。
メンバーの入れ替わりは激しくなったものの
ポール、ジーンの2枚看板は崩れることなく
活動を続けてきたが、
ついにこの2023年12月、最後のライブを開催。
今後はアバターを用いたデジタル・バンドとして
活動すると発表されました。
ではでは、今年も
お付き合いいただきありがとうございました!
よいお年を!
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