no.150

THE KINKS(キンクス)U.K.

毎度ありがとうございます~

ザ・キンクスです!

キンクスは1964年デビュー。
当時世界を席巻したブリティッシュ・インヴェイジョン、
ブリティッシュ・ビート、モッズ・バンドの中でも
特に重要な存在とされる。

’60年代なかばからは徐々に、
あまた存在するビート・バンドからの脱却をはかり、
非常にイギリス的なコンセプト・アルバムを
制作するようになり、
やがてそれはロックによる演劇、
つまりロック・オペラというスタイルへと繋がっていく。

キンクス以外の代表的なロック・オペラといえば、
ザ・フーの『トミー』『四重人格』、
ジェネシスの『眩惑のブロードウェイ』、
ピンク・フロイドの『ザ・ウォール』などが有名。

…とまあ、初期~中期にかけてのキンクスを
ざっくりと要約するとこんな感じでしょうか。

私の話になりますが、
私は小5でビートルズにハマって
一通り聴いた後は、ツェッペリンやパープル等の
ハード・ロック、さらにはイエス等のプログレ、
つまり’70年代のロックに没頭したため、
’60年代はそんなに聴いていなかったのです。
キンクスやスモール・フェイセス等の有名どころも、
ほぼ30歳を過ぎてから聴きました。

’96年まで活動したこのキンクスについても、
その膨大な作品リストからすれば、
持っているのはほんの一部です。

ですので全体についてはよくわかっていないのですが、
持っている範囲内でなんやかんやと
書いてみましょう!

・Kinks+Kinda Kinks(1964,1965/1st,2nd/国内CD)


好き度★★★★
まず、何故1stと2ndを並べて記しているのか。
それは、これが2in1CDだからです。

私は、コレクター気質がありますので、
実物を棚に並べて「オレはこれだけ持ってるぞ」と
自己満足したいタイプの人間です。
だから、本来ならば2作品あるということを
目で見て実感できない2in1CDは好きではないのですが、
この時点ではまだ全然キンクスを知らなかったし、
そのお得さに負けて買ってしまいました。

①~⑭が1st、⑮~26が2nd。

さて、キンクスのデビュー時のメンバーは
・Ray Davies(レイ・デイヴィス)vo,g,key,harmonica
・Dave Davies(デイヴ・デイヴィス)g,vo,key
・Pete Quaife(ピート・クウェイフ)b,vo
・Mick Avory(ミック・エイヴォリー)ds
の4人。

レイ・デイヴィスがリーダーで、かつ
バンドのオリジナル曲の殆どを手掛ける
メイン・ソングライターでもあり、リード・シンガー。

デイヴ・デイヴィスはレイの実弟で、
時折リード・ヴォーカルを取る事もある。
顔も似てるし、声もよく似ていて、
言われないと私は気づきませんでした(^_^;)

この1stの印象はというと、
揃いのスーツに身を包んだジャケットが物語るように
同時期のブリティッシュ・ビート/モッズという
キーワードから想像する音の範囲に収まるもの、
と言ってもいいでしょう。

しかしその特徴はしっかりとあって、
アタックの強いベケベケとしたギターによる
速いカッティングが目立つ。
またリズム隊も非常に強力で、
後のハード・ロックの雛形とも言えるサウンドを展開。
(ただ、’65年頃までプロデューサーの意向で
ドラムには代役を立てられる事が多かったらしい)

またその一方演奏はでとても端正で丁寧。
当時のレコーディング作品というと、
誰かが間違っていたり、アンサンブルが崩れていたりしても
平気でそのまま商品化している事が多いが
そういう場面は少ないようだ。

同時期のバンドと比較しても、
かなり技術的にも上手かったのではないか、
と推測できます。
特にデイヴのギター・ソロはかなりのもの。

レコーディング時に十分なオリジナル曲を用意できず、
14曲中の半分はカヴァー曲だが、
違和感なくマッチしているし、
オリジナルが素晴らしい!
中でも有名な⑦「You Really Got Me」は、
ヴァン・ヘイレンがヒットさせた事でも知られる。

個人的には⑤「I Took My Baby Home」とか
可愛くて好きだな~

一方で2ndでは12曲中カヴァーは2曲のみと、
ぐっとオリジナルの比重が増した。
じっくりと曲作りやレコーディングに
取り組むことが出来たのか、
この2ndの方がやや落ち着いた雰囲気がある。

・The Kink Kontroversy(1965/3rd/国内CD)

好き度★★★★
この時代のイギリスのロック・バンドのリリース形式は、
本国とアメリカ、またはそれ以外の国向けに
異なるタイトルや曲目で出される事が多く、
どれが正確に何枚目なのか把握するのが
ややこしい事がある。

おおむね、本国でのリリースを正式な作品として
カウントする事が通例となっているようなので、
それに倣えば本作が3rdという事になる。

①「Milk Cow Blues」以外は全てレイ・ディヴィス作。
その①に見られるような、硬質な音のギターによる
リフが中心となったハードなブルース・スタイルの
曲が多く、後のハード・ロックに
通じるものを感じます。

一方で⑤「I Am Free」のような牧歌的な作風も
出てきており、後の傑作『ヴィレッジ・グリーン・
プリザヴェイション・ソサエティ』へと繋がる
ラインを感じ取る事ができる。

そういった徐々に始まっている変化と、
まだまだ残るビート・バンドっぽさを
両方楽しめる作品と言えるでしょう。

・Face to Face(1966/4th/国内CD)

好き度★★★★
前作と同様に、デビュー当初のR&B等からの影響を受けた
ブリティッシュ・ビート/モッズ・バンドといった
曲調もまだ残るが、
いかにもイギリス的なロックへの進化はより一層顕著になり、
結果としてバラエティーに富んだ内容となった。

この、”イギリス的な”という形容ですが、
私は評論家でもなければイギリス人でもないので
それは一体どんなものか?と問われれば
答えるすべも無いのが現状です…

しかし、色んな海外アーティストの曲を聴き、
“アメリカっぽいな~”とか”イギリス的だ”とか
感じることってあると思います。
私の言っているのもそういったものだと
捉えていただければ幸いです。

サウンド的には、
アコースティックギターの使用頻度の増加、
またチェンバロの使用など、
よりアーティスティックな傾向が見られる。
同時代のイギリスのバンドの多くがそうであったように、
これもトレンド、多様化、ロックの成熟の
表れかもしれませんね。

⑩「Fancy」にはインド音楽的、サイケデリックな
雰囲気も持ち込まれているのがキンクスには珍しい。

・The Kinks are the Village Green Preservation Society

(1968/6th/国内CD)

好き度★★★★★
ザ・キンクスの、そしてソングライターである
レイ・デイヴィスのアーティスティック志向は
ますます強まり、本作は
「イギリスの田舎生活と古き良き時代に対する
敬意を表した」(ウィキペディアより)
コンセプト・アルバムとなった。

また、この頃からレイ・デイヴィスは、
売れるシングルを作るよりも
自分が作りたいものを作る事に
執念を燃やしていたようで、
本作もリリース日が決まって生産までしていたのに、
直前になって内容を変更するため中止させた
というエピソードがある。

因みに私の持っているCDでは、
実際に発売された15曲のモノラル・ヴァージョンの後に
ボーナストラックとして発売中止された
12曲のステレオ・ヴァージョンも収録。

自分の制作意欲にとことん忠実に力を注いだ結果か、
ソングライティングの素晴らしさは
頂点に達したかのような充実度を見せる。
もはやR&Bっぽさはほとんど無くなり、
より強い英国臭の漂う楽曲が並ぶが
曲調はフォーキー、ハード、南国風など表情豊か。
とにかく全曲が名曲と言えるような
珠玉のメロディーとレイの時にシニカル、
時に暖かいヴォーカルがマッチ。

そして各楽器の音もイイ。…のですが、
ベーシスト、ピート・クウェイフが参加した
最後のアルバムとなってしまいました。

・Arthur(Or the Decline and Fall of the British Empire)
(1969/7th/国内CD)

好き度★★★★★
邦題は『アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡』。
新ベーシスト、John Dalton(ジョン・ダルトン)
が参加しての最初のアルバム。

この頃のキンクスは、コンセプト・アルバムの中でも
演劇的ストーリーのある、「ロック・オペラ」を
次々とリリースする。
やはりブリティッシュ・ビート/モッズ・バンドとして
同時期にデビューし、後に『トミー』『四重人格』等の
名ロック・オペラを作ったザ・フーと
まるで競い合うかのように。
レイは、フ-のピート・タウンゼントに
ライバル心を燃やしていたとかいなかったとか…

内容は、レイの義兄(姉の旦那さん)一家の
エピソードをもとにしている。

音楽的にはやや牧歌的だった前作よりも
ソリッドなロックへと若干の方向修正をしているが
レイのソングライティングにおける冴えは
相変わらず持続しており、名曲揃い!
きっとこの頃、アイデアが湯水のように湧き出て
止まらなかったんじゃないかと思わせるような充実ぶり。

なかでも⑦「Shangri-La」は、その一曲だけでも
ミニ・ロック・オペラとして成立しているんじゃないか
と思わせるようなドラマチックな作りで、
バンドのキャリアを通じての傑作として
今も愛されています。

また、⑩「Young And Innocent Days(若くて純真な時代)」
のような、あたたかい曲調もまた
キンクスの魅力だと思うんですよねー。

・Lola versus Powerman and the Moneygoround, Part One
(1970/8th/国内CD)

好き度★★★★★
邦題は『ローラ対パワーマン、
マネーゴーラウンド組第一回戦』。

代表曲となった大ヒット作⑤「Lola」や、
⑪「Apeman」⑫「Powerman」といった、
ロック好きなら一度くらいは聴いた事がありそうな
有名な曲が入っているので取っ付きやすそうでもある。

やはり本作もソリッドなロック路線で、
南国風あり、ハード・ロック風ありと
バラエティーに富むキンクスらしい作り。

まだまだ絶好調状態が続くレイのソングライティングだが
デイヴ作の②「Strangers(見知らぬ人)」も
よく馴染んでいる。

本作もまたロック・オペラで、
レイがショービジネス界で
体験した事がモチーフの自伝的(暴露的?)内容。

・Everybody’s in Show-Biz(1972/11th/国内CD)

好き度★★★★★
発売当初はキンクス初の2枚組としてリリースされた。
アナログ盤では1枚目がスタジオ録音の新作、
2枚目がカーネギーホールでのライブ。

’70年にキーボード奏者、
John Gosling(ジョン・ゴスリング) を加入させ、
5人組となっている。
このゴスリングのキーボードが
かなりいい仕事をしていて、
ソリッドなロック・サウンドに彩りを加えている。

また、ホーン・セクションも導入。
この頃のライブにもホーン3人組が帯同していたようです。

本作もまた曲の良さが際立つが、
中でも特筆すべきはスタジオ盤のラストである
⑩「Celluloid Heroes(セルロイドの英雄)」でしょう。

アコースティックギターとピアノに導かれ、
叙情的なヴォーカルで始まるこの曲は、
基本的にAメロとサビだけのシンプルな構成だが、
楽器の出し入れやコーラスの有無などで変化をつけ、
6分以上の長尺ながら全く飽きさせる事がない。

往年のハリウッド・スターの名前が次々と飛び出す
ノスタルジックな歌詞も相まって、
感動的な大作に仕上がった。

今日ではバンドを代表する名曲と言われているが
シングルでリリースされた際は、
「長い」という理由でラジオであまりかけてもらえず、
全く売れなかったというから分からないモノですね…

ちなみにこの「セルロイドの英雄」が、
私がキンクスを聴いてみようと思った
きっかけでもあるのです。

また、2枚目のライブは前述のとおり、
ホーン・セクションも参加しての録音で、
キンクスがやはり非常に上手いバンドであったと
実感できる内容。

私のコレクションはここまでですが、
バンドは’96年まで存続、数多くの作品を残しました。

ではでは、
お付き合いいただきありがとうございました!

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おざきゆうすけン家の棚no.150 THE KINKS

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