前回の続きです。

長年バンドをやっていると、
共演したバンドの方とお話をさせていただく機会も
度々あります。そんな中、
今はメタルと全く縁のないような
音楽をやっていても、
かつてはメタルをやってたとか、
ハマってたとか言う方も少なくありません。

中でも特に好きだったバンド名に、
このアイアン・メイデンの名を挙げる方が
やはり多い気がします。

そんな影響力も大きいアイアン・メイデン。
では前回の続き、スタートです!

・Somewhere In Time(1986/6th/輸入CD)

好き度★★★★★
これまでに培ってきた高い音楽性と、
初期のような攻撃性を両立させた快作。
アメリカのチャートではこれまでの最高を記録。

②「Wasted Years」、⑥「Stranger In A Strange Land」
等では広く一般にもアピール。

⑦「Deja-Vu」のヴォーカルは初代、
ポ-ル・ディアノを思わせる。

もはや定番となったアルバム最後の大作枠に据えた
⑧「Alexander The Great」中間部の
変拍子でのインスト・パートのカッコ良さはヤバい。

いったいどこまで成長を続けるんだ?と思えるほど
魅力が青天井状態のアイアン・メイデン。
本作が最高傑作に挙げられる事も多いですね。

・Seventh Son of a Seventh Son(1988/7th/輸入CD)

好き度★★★★★
発表当初、大幅なアコースティック・ギターや
シンセサイザーの導入が物議を醸していた…ような。

①「Moonchild」のオープニングがまずいきなり
アコギで始まるし、続いてエレキが入ってくる場面も
U2みたいでらしくなく思えるかも知れませんが、
全体を通して聴いてみれば
アイアン・メイデンらしさは少しも失われていない。

むしろ、風格、威厳のようなものすら感じさせ、
いよいよ大御所感が漂ってきた。

今回はラス曲じゃなかった大作枠、
⑤「Seventh Son of a Seventh Son」の、
中間部の静かな部分、ジェネシス好きな人は
思わずニヤリとするかも・・・?

アルバム後半ではギターのフレーズ等に
トラディショナルな味わいも見られ、
確かにこれまであまりやっていなかった事を
やろうという点はいくつかありますが
軸は全くブレていない。これもまた名盤と言えるでしょう。

・No Prayer For The Dying(1990/8th/国内CD)

好き度★★★★
前作を最後にギタリストの一人、
エイドリアン・スミスが脱退。後任には
ブルース・ディッキンソンのソロ・アルバムに
参加した縁でJanick Gers(ヤニック・ガーズ)が迎えられる。

本作を聴いたとき、当初は
「あれ?なんか小さくまとまった?」
と思ってしまいましたが、
今回改めて聴き直してみたら、全くそんな事はなく、
ただ大作志向が影を潜めていただけでした。
まあそれはここまでの作風と比べてみたら
かなり大きな変化には違いないのでしょうが。

リストには3、4分台の曲がズラリと並び、
一番長いラスト⑩「Mother Russia(母なるロシア)」でも
5分半というコンパクトさ。

①「Tailgunner」は’82年の
「The Number Of The Beast」以来受け継がれてきた
メイデン流メジャー・キーの良作だし、
④「Public Enema Number One」、
⑤「Fates Warning(悪魔か?神か?)」等での
ハリスのベースがグイグイ曲を引っ張っていく
独特のグルーヴはメイデンそのもの。

新加入のヤニック・ガーズは本作では
ソングライティングには参加していませんが、
この人、ステージ映えするんですよね・・・
私は実際にライブで見た事がありますが、
華のあるギタリストですね。

・Fear Of The Dark(1992/9th/輸入CD)

好き度★★★★
通算9作目のスタジオ・アルバム。
シンプルでコンパクトな曲を並べた前作と変わって、
大作も含めた従来の方法論に近い作風になった。

新加入のガースも本作では全12曲中5曲で
ソングライティングに参加、
本領を発揮し始めました。

本作もメイデンらしい良作だと思うのですが、
個人的にはちょっと「んー」という感想は否めません。
7作目までで見せた、
「メイデンらしくて、イイな」という以上の
キラメキみたいなものが感じられなかったのです。
やや停滞みたいなものを感じてしまいました。
もちろんメイデンを聴きたい!という
欲求には応えてくれるのですが・・・

もしかしたら、トータルの尺がやや長いのかも知れません。

’92年というと、フォーマットがアナログレコードから
CDに完全移行した時期。
各アーティスト、アルバムの収録時間が
一様に長くなった時期でもあります。

本作もトータルで58分少々あり、
全部聴き終えて、ちょっと長いかな・・・と思いました。
それぞれの出来は悪くはないので、
例えば1、2曲削って次回作に回しても
良かったのかも知れません。

でも作ってる側からすれば、
きっと全曲最高の出来だと思ってるんでしょうし、
それを削るなんて出来ないですよね。
それは私も作る側でもあるのでよく分かります(笑)

それにしてもアナログLPの大体45分程度という
時間はよくできてるよな・・・

本作を最後に、10年間ヴォーカリストを務めてきた
ディッキンソンがソロ活動に専念するため
脱退してしまう。

・Dance Of Death(2003/13th/国内CD)

好き度★★★★★
邦題は『死の舞踏』。

ディッキンソン脱退後、バンドは
Blaze Bayley(ブレイズ・ベイリー)を
ヴォーカリストに迎えアルバムを2枚リリースするも、
セールス的にはアメリカで100位以下と低迷。

’99年にはディッキンソン、さらにはギタリストの
エイドリアン・スミスが復帰、
異例のトリプル・ギターの6人編成となるが
ファンにはおおむね好意的に迎えられ、
新生メイデン第1作『Brave New World』も
好セールスを記録。

それに続く本作はさらに好調で前作を上回る
全米18位まで上昇。

前作を聴いていないのですが、
個人的にはオープニングの①「Wildest Dreams」を聴いて
思わず「コレだよ、コレ!」と呟いてしまったほど。
まさにこちらが聴きたいメイデンのさらに上を行く
メイデンが帰ってきた!って感じ。

全編ハイテンションで、絶えない創作意欲と熟練のワザ、
そしてチャレンジ精神が絶妙にブレンドされた傑作。

ドラマーのニコ・マクブレインが初めて作曲に関わった
⑦「New Frontier」も収録されるなど、
メンバー全員が作曲に参加。

長い曲も多く、当然トータル・タイムも長いのですが
長さを感じさせません。

中でもプログレッシブな味わいのある大作
⑤「Dance of Death(死の舞踏)」,
⑧「Paschendale」あたりは出色の出来。

2003年というと、自分としてはもうあまりメタルは
聴いてなかったし、最後に聴いたメイデンの
『Fear Of The Dark』が、わずかながら
下降線を感じさせる内容だっただけに
あまり期待してなかったんですが、
いやいやいや!
いい意味で裏切られました。

この分なら、きっと以降のアルバムも十分楽しめるでしょう。

バンドはその後もアルバムを作り続け、
2019年の最新作『Senjutsu(戦術)』では
アメリカで過去最高の3位を記録したそうな。
実に頼もしい限り!
末永い活躍をお祈りします!

ライブ・アルバム

・Live After Death(1985/国内LP)

好き度★★★★
邦題は『死霊復活』。
活動歴の長いバンドなのでライブ・アルバムも多数あるが
本作がバンド初のフルレングス・ライブ・アルバム。

5作目『Powerslave』リリース後という、
まさにこれから絶頂期へと向かう最高の時期に
レコーディングされただけあって、
演奏も最高の名ライブ盤と言えるでしょう。

なんでも本作制作にあたって、
オーバー・ダビング、差し替え等は一切
行われなかったらしい。ホントかどうか知らないけど(笑)
ライブ・アルバム制作の際、イマイチな箇所を
録り直したりするのは割と当たり前に行われているようで、
中には元のテイクがほとんど残っていない、
なんてシロモノもあるらしい。
もしホントならスゴイですね。

今回、改めて自分はアイアン・メイデンが
凄く好きなんだなーって再認識しました。

以上、
お付き合いいただきありがとうございました!

ABC友の会公式HP
http://abc-tomonokai.com/
 
ABC友の会公式Twitter
https://twitter.com/abc_tomonokai

おざきゆうすけン家の棚no.125 IRON MAIDEN 後編

投稿ナビゲーション