no.121

 

IL BALLETTO DI BRONZO
(イル・バレット・ディ・ブロンゾ)ITALIA

今回はイタリアから、
イル・バレット・ディ・ブロンゾの登場です!

・Ys(1972/2nd/輸入CD)

好き度★★★★★
B級アイテム漁り、というと品がないかも知れませんが、
時々こういう超ド級作品にぶち当たる事がある。
だからB級探しはやめられないのです。

・・・とは言え、プログレッシブ・ロック、
ヨーロピアン/イタリアン・ロックと範囲を絞っていけば
本作は昔から名盤との呼び声が高く、
そのスジではかなり知られたアルバムではあります。

まあ、米英はじめ英語圏のメインストリームの音楽中心に
聴いている一般的なリスナーからすれば
B級には違いないでしょうが、
そういうのだけ聴いている限りは
出会う事はまず無いでしょう。
商品としても、音楽的にも。

イル・バレット・ディ・ブロンゾは’60年代後半に結成、
’70年に1stアルバムをリリース。
私は未聴ですが、割とフツーのハードロックらしい。

しかしここでメンバー・チェンジがあり、
ヴォーカル・キーボードにジャンニ・レオーネが
加わった事で本作が生まれた。

’72年本作リリース時のメンバーは
・Gianni Leone(ジャンニ・レオーネ)key,vo
・Lino Ajello(リノ・アイェーロ)g
・Vito Manzari(ヴィト・マンザリ)b
・Giancarlo Stinga(ジャンキ・スティンガ)ds

レオーネとマンザリが新加入メンバー。

前述のように高評価で日本での人気も高く、
何度となく国内盤も再発されていますが、
アルバム・タイトルとして日本では
『イプシロン・エッセ』との読みを邦題としていましたが
正しくは『イース』と発音するのだとか。
そういえばそういうゲームあったな・・・

さてその内容ですが、数あるイタリアン・ロックの
名盤の中でも、恐らく最高峰に位置するうちの一つでしょう。

まあ、とにかく暗い。重い。
①「Introduzione」。のっけから不気味な旋律の
女性ヴォーカルから入るが、不安しかない。
その後オルガン、レオーネのヴォーカルが入ってきても
不安なまま。
曲はどんどん展開していくが、どれも全部7拍子。
ノる事すら許されない。

やがて凄まじいインスト・パートへ突入。
テンポの早い、相変わらずの7拍子を
リズム隊が執拗に繰り返す。
それは淡々とではなく、ラウドにアグレッシブに。
その上を、キーボードが自由自在に飛び回る。
ギターソロが始まるとさらにギアが一段上がった感じがする。
まるで4人全員のバトルのように。

割と唐突に元のヴォーカル・パートに戻って
そのまま終わりを迎えるが、
ちょっと放心状態みたいになっているところへ
②「Primo Incontro」これもまた基本的に5拍子で、
全然ホッとしない。

③「Secondo Incontro」は、元々ハードロック・バンド
だったという片鱗をのぞかせるが、
すぐまた暗黒の世界へ連れていかれる。

極めつけは④「Terzo Incontro」後半の、
超ドロドロの暗黒世界。
女性の泣き声なんかも聞こえて、怖いんですけど・・・

エンディングの⑤「Epilogo」では、
オープニングで聴かれた女性ヴォーカルの逆再生?
で幕を閉じる。だから怖いって。

私の持っているCDはボーナストラック2曲が入っていますが
これが一服の清涼剤のように感じます。
(これも決して明るくはないんですが)

卓越した演奏力を駆使してはいますが、
洗練され過ぎておらず、多少バタバタしているところが
またロックっぽくていい。
サウンドはあくまでもパワフルでヘヴィー。

ヘヴィーで混沌としたサウンドを例えるとき、
よくブラック・サバスやキング・クリムゾンが
引き合いに出されますが、
私はどちらにも似ているとは思いません。

ジャズやクラシックの要素も少し加えながら、
唯一無二のヘヴィーでダークな世界を表現した
イル・バレット・ディ・ブロンゾ。

こちらから会いに出向かないと、なかなか
偶然出会う確率はそう高くはなさそうですが、
その輝きは今も色あせていない・・・と思うのです。

バンドが当時、どのくらいの人気があったのかを
伝える文章をあまり見かけたことが無いのですが、
レオーネはその後レオ・ネロとしてソロで活動、
かなり有名になったようです。

では今回はここまで!

ではでは、
お付き合いいただきありがとうございました!

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おざきゆうすけン家の棚no.121 IL BALLETTO DI BRONZO

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