今回は私の心を捉えて離さないこのバンド!

FAIRPORT CONVENTION
(フェアポート・コンヴェンション)U.K.

あまりメインストリームでメジャーと言える
存在ではありませんが、ロック史において、
重要な位置を占めるのは間違いないでしょう。

加えて、私が敬愛するギタリスト、
リチャード・トンプソンが在籍したバンドでもあります。
こんな事を言っては図々しいかも知れませんが、
プレイスタイルが近いものがあると感じますし、
人からそう言われた事もあります。

フェアポートを初めて聴いたのは
30歳の手前くらいでした。
それまでにも好きなギタリストはたくさんいまして、
その大先輩方を参考に腕を磨いてきたつもりですが、
あまり人から「誰々っぽいね」と言われた事がありません。

しかし、フェアポートでリチャード・トンプソンの
ギターを聴いたとき、
「おおっ!これは!このギター好きだぞ!」と
ビビっと来たのを覚えています。

30歳も近くなってから、プレイヤーとして
そういう存在に出会えた事は久々で新鮮で、
以後、自分が近いと思えるところは長所と捉えて
プレイを組み立ててきました。

話がそれました。

フェアポートを語る時にキーワードとなるのは
トラディショナル(トラッド)、フォーク・ロック、
アコースティック・ロック、等でしょうか。

イギリス(だけじゃないけど)の伝承歌、伝統音楽を
ロック的解釈で提示したバンド・・・
大雑把に言えばそうなるかと思います。

このテの音楽はハマると泥沼らしいし、
私は入口を覗いただけなので全然詳しくありません(笑)
ご興味持たれた方は調べてみてはいかがでしょうか。

フェアポートを聴くようになったきっかけは、
レッド・ツェッペリンです。
ジミー・ペイジが、このフェアポートや、
ペンタングルといったイギリスのフォーク・グループや
そのギタリストたちを好んで聴いていたというのは
割とアルバムのライナーや文献でよく目にするので、
名前だけはもっと前から知ってはいました。

ただ、10代や20歳そこそこの時はなかなか
一歩踏み出せず、30近くでようやくこちらにも
受け入れる体制が出来てきた、って事ですかね(^^;)

しかし、もともとツェッペリンの
アコースティック・ナンバーとかも大好きだったし、
聴いてみたらすんなり入って来るどころか
ビビっと来てしまったのです。
30も近くなると、もういいバンドで有名なものは
聴いてしまっているので、そこまでのインパクトは
段々と感じづらくなってくるものですよ(T_T)

このくらいにして、そろそろ所有アルバムを
ご紹介しましょう。

オリジナル・アルバム

・Fairport Convention(1968/1st/輸入CD)

好き度★★★★
記念すべきデビュー作。
リリース時のメンバーは
・Richard Thompson(リチャード・トンプソン)g
・Simon Nicol(サイモン・ニコル)g
・Ashley Hutchings(アシュリー・ハッチングス)b
・Judy Dyble(ジュディ・ダイブル)vo
・Ian Matthews(イアン・マシューズ)vo
・Martin Lamble(マーティン・ランブル)ds
の6人。
男女一人ずつのツイン・ヴォーカル体制でした。

ちなみにイアン・マシューズは本作発表時は
Ian McDonaldを名乗っていて、クレジットも
そう表記されているがキング・クリムゾンに
同名のメンバーがいたので2ndからは
本名のマシューズに変えている。

デビュー当時はトラッド色はほとんどなく、
むしろアメリカ西海岸風のロック、フォークに
影響を受けていて、
“イギリスのジェファーソン・エアプレイン”
という位置づけだったようです。

イアン・マシューズの優しいヴォーカルも、
トラッドっぽさは感じさせない。

また初期の特徴としてはカヴァー曲が多く、
オリジナルと共にジョニ・ミッチェル、
ボブ・ディランの曲などが演奏されている。

楽器陣の自己主張はまだ控え目ですが、
リチャード・トンプソンはまだ19歳!
そう考えるとスゴイな。

本作で女性ヴォーカリスト、
ジュディ・ダイブルは脱退。後にトレイダー・ホーン
というフォーク・デュオでアルバムを一枚出すが
それも傑作!

・What We Did on Our Holidays(1969/2nd/輸入CD)

好き度★★★★
本作から女性ヴォーカリストに
Sandy Denny(サンディ・デニー)が参加。
イギリスのフォーク、ロック界でとても重要な
存在となっていく。

バンドとしてもオリジナルとカヴァーのレベルがも
格段に向上、また
トラディショナル・ソングを初めて取り上げていて、
ここからフォーク・ロック化が進んでいった、
とも言える。

そのトラッドのひとつ、⑧「Nottamun Town」での
トンプソンのアコースティック・ギターは
素晴らしい!

⑨「Tale in Hard Time」で聴けるマシューズの
ヴォーカルはトラッドというよりも
西海岸風が似合いそう。実際彼は次作制作途中で脱退、
そっち寄りな方向性を持った
マシューズ・サザーン・コンフォートを結成する。

やはりトラッドの⑩「She Moves Through the Fair」
でのサンディ・デニーのヴォーカルもまた素晴らしい。

ここでまたちょっと脱線。

私もいくつか、トラッドを取り上げたバンドや歌手を
聴いてきましたが、その歌い方について、
歌い手によって声質は当然バラバラなんですが、
なんだか共通点があるような気がします。
それが何だかはわかりませんが・・・

・Unhalfbricking(1969/3rd/輸入CD)

好き度★★★★
このアルバムでもオリジナル、ディランのカヴァーと共に
トラッドが取り上げられている。
それが④「A Sailor’s Life」で、
いかにもなメロディと、
幻想的でフリーフォームな演奏が交錯する
名演となっていて、その後バンドがトラッドを
中心にしてフォーク・ロック路線を進むことを
決定づけた一曲です。

トンプソン、デニーのソングライターとしての
活躍も目立ちます。

本作の制作が始まってすぐマシューズが脱退したため
ヴォーカルはほとんどデニー1人が担当。

本作のリリース直前、ドラマーのマーティン・ランブルが
交通事故死するという悲劇に見舞われる。

・Liege & Lief(1969/4th/輸入CD)

好き度★★★★★
ドラマーの事故死という悲劇もあって、
本作では2人の新メンバーが加入。

・Dave Mattacks(デイヴ・マタックス)ds
・Dave Swarbrick(デイヴ・スウォーブリック)
 violin,mandolin 他

デイヴ・マタックスは非常にタイトで安定感ある
プレイが持ち味の名ドラマー。
テクニックにも優れているが、
相当にテクニカルなプレイをしていても、
なお余裕が感じられます。
ドラム以外にもキーボード、ベースなどもプレイする
才人でもあります。

デイヴ・スウォーブリックは前作にもゲスト参加
していましたが本作からメンバーとして加入。
多彩な楽器演奏、ヴォーカルなどをこなし、
以後、長きにわたりバンドを支えます。

強力なメンバー参加によって、
黄金期を迎えたといってもいいフェアポート。
本作は素晴らしい作品に仕上がりました。

収録曲の多くがエレクトリック化された
トラディショナル・ソングで、ハッキリと
その方向性が示されています。

ウイキペディアはじめ、多くの文献で
「ブリティッシュ・フォークロック」の最初のアルバム
と位置づけられています。

⑥のメドレーでは、ハードロック少年だった
私にはTHIN LIZZYの「Black Rose」で
聴きなれたフレーズもいくつか飛び出します。
テクニカルなインスト・パートの
充実ぶりが伺えます。

しかし、なんとここでヴォーカルのサンディ・デニー、
ベースのアシュリー・ハッチングスが
脱退してしまうという事態が起こります。

デニーはソングライターとしてもっと自作曲を
演奏するため、Fotheringay(フォザリンゲイ)を結成、
ハッチングスは伝統音楽をもっと追求するため
Steeleye Span(スティーライ・スパン)を結成。
しかしそれが脱退理由だったかどうかは
よくわかっていないらしいです。

・Full House(1970/5th/輸入CD)

好き度★★★★★
サンディ・デニーの後釜を探さなかったため、
バンド史上初めて女性ヴォーカリストがいない
5人編成となった。
ヴォーカルはトンプソン、スウォーブリックが
中心となって残ったメンバーで担当。

ベースにはDave Pegg(デイヴ・ペグ)が参加。
この人もまた相当にテクニシャンで、
⑤「Dirty Linen」を聴けばそれが良くわかる。

重要なメンバーを失ったにもかかわらず、
それを補って余りある新メンバーを得て、
バンドは黄金期を維持。
オリジナル、トラッドの両方で
高いレベルの演奏を聴かせます。
それは非常に骨太なロック・サウンドでまさに
フェアポート節とも言えるものだと思います。

アルバムは⑦「Flowers Of The Forest」の
静寂で幕を閉じる。
威厳のようなものすら感じるこの曲の
12弦ギターは、バグパイプを模したものだと
何かで読んだような・・・

・Angel Delight(1971/6th/国内LP)

好き度★★★★
なんとなんと、今度はリチャード・トンプソンが
脱退してしまいます。
しかしメンバー補充はせず、
残った4人で制作されました。

基本的には前作までに確立された
ブリティシュ・フォーク・ロック路線を継承。
クオリティは全く落ちていません。

唯一のオリジナル・メンバーとなった
ギターのサイモン・ニコルもかなりの名手だと思いますが、
やはりどうしてもトンプソンほどの華やかさはなく、
そこだけがやや物足りなく
感じてしまうところでしょうか・・・

そこを補うのがスウォーブリック。
バイオリン、マンドリンに加えて
多くの曲でリード・ヴォーカルも担当。
この後ついにニコルまでもがバンドを離れて、
とうとうオリジナル・メンバーが
いなくなってしまいますが、そこからは
リーダー的役割を果たしていきます。

・Nine(1973/9th/輸入LP)

好き度★★★★
タイトル通りの9作目。
私のコレクションとしては7、8枚目がありませんが、
その間に前述のとおりサイモン・ニコルが脱退。
オリジナル・メンバーがいなくなったバンドは
オーストラリア出身の
・Trevor Lucas(トレバー・ルーカス)g
アメリカ出身の
・Jerry Donahue(ジェリー・ドナヒュー)g
を加入させます。

従来のトラッド路線に加えて、
イギリス人以外のメンバーが入った影響か、
オリジナルの曲調は幅広いものになりました。

ラストを飾る「Possibly Parson’s Green」は
カントリー風味もあり、スピード感あふれる
フォーク・ロックンロール。
コーラスも素晴らしい!

私が持っているのはここまで。
バンドは解散、再結成を経て現在も存続。
ブリティシュ・トラッド、フォーク・ロックの
名門としてあり続けています。

ライブ・アルバム

・Fairport Live Convention(1974/輸入CD)

好き度★★★★
フェアポートのライブ盤で最初にリリースされた。
録音時期は’73’から74年にかけて、
『Nine』のメンバーにサンディ・デニーが復帰して
6人編成になっています。

後述の『House Full』とかぶっている曲もあるので
聴き比べてみると面白い。

・House Full(1986/国内CD)

好き度★★★★★
アルバム『Full House』発表時のメンバーによる、
全盛期のライヴ・アルバムなので、
録音は1970年。

発掘音源ですが音質も最高で、
メンバー全員の凄まじい演奏力が堪能できる。

私が最初に買ったフェアポートのアルバムがコレでした。

後半になるにつれて、インスト・パートの
ヴォルテージが上がっていく様は圧巻。
それでいてラストは静かに聴かせる構成も心憎い。

ちなみに、本作は1970年9月4~6日、
ロサンゼルスのトルバドゥールでのライブ録音ですが、
この時の音源はタイトルを変えて
何度かリリースされているようで、
曲目も若干の入れ替えがあるみたいです。

・Heyday(1987/国内CD)

好き度★★★★
録音は1968~69年にかけて、2ndアルバム
『What We Did on Our Holidays』の時のメンバー
によって英BBCに残されたライブ音源。

まだトラッド路線に行く前の演奏で、
選曲もほとんどがカヴァー曲です。

さすがBBC音源、音質も非常にいい

貴重なアルバムです。

ではでは、
お付き合いいただきありがとうございました!

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おざきゆうすけン家の棚no.85 FAIRPORT CONVENTION

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