no.175
THE MOODY BLUES(ムーディー・ブルース)U.K.
お久しぶりです!
ちょっと忙しかったりで間隔が空いてしまいました。
今回はムーディー・ブルースをご紹介します!
ムーディー・ブルースは主に
プログレッシブ・ロック分類される。
1967年というかなり早い段階で
オーケストラとの共演でアルバムを制作したり、
コンセプト・アルバムという概念を持ち込んだりして
プログレッシブ・ロックの礎を築く。
と同時に商業的にもかなり大きな成功を収めており、
プログレのみならずロック史上重要な位置を
占めるバンドと言えるでしょう。
しかし、ここ日本においてはその人気は
イマイチなようで、かの五大バンドには
届いていないようです。
一体何故か?
これは完全な私見ですが…
とにかく地味!
曲やメロディーの良さには文句のつけようがないが、
組曲風の超大作も無ければ、
圧倒的音圧のキーボード大洪水も無い。
華麗なギターやキーボードのソロも無ければ
複雑な変拍子も無い。
いわゆる、”わかりやすいプログレっぽさ”
に欠けているのではないか。
こういう言い方は適切ではないかも知れないが、
“フツーのロック”なのだ。
ついでに言うなら、見た目も地味!
内ジャケ等に結構メンバー写真が載っているが、
なんか似たようなおじさんたち
(と言っても当時まだ20代半ばのはずだが)が
似たような格好して写っている。
ロックスター的な華やかさもやや足りないかなあ…
ではそんな彼らが何故プログレと言われているのか、
それはやはり冒頭でも記した通り、
オーケストラとの共演や、コンセプト・アルバム、
つまりアルバム全体でなにか一つの事を表現する
という手法を用いた事が大きいだろう。
どちらも、1967年というのはかなり早かったと思われる。
あとはメロトロンを使用した叙情的なサウンドも
要因の一つかも。
そんなムーディーズの結成は1964年と古い。
オリジナル・メンバーは
・Denny Laine(デニー・レーン)g,vo
・Mike Pinder(マイク・ピンダー)key,vo
・Ray Thomas(レイ・トーマス)flute,vo,etc
・Clint Warwick(クリント・ワーウィック)b,vo
・Graeme Edge(グレアム・エッジ)ds
の5人。
デニー・レーンは後にポール・マッカートニーが
ビートルズ解散後に作ったバンド、ウイングスに参加。
長年にわたりポールの片腕としてバンドを支えたのを
ご存知の方も多いかと思います。
この頃は当時のトレンドでもあった、R&B色を
前面に押し出したブリティッシュ・ビート・バンドであり、
’65年に1stアルバム『The Magnificent Moodies』
でデビュー、同年のシングル「Go Now」が
大ヒットとなるが方向性の違いから
レーン、ワーウィックが脱退。
残されたピンダー、トーマス、エッジの3人は
メンバーを補充してバンドの存続を決意。
そこで選ばれたのが
・Justin Hayward(ジャスティン・ヘイワード)g,vo
・John Lodge(ジョン・ロッジ)b,vo
の2人。
こうしてプログレ期のメンバーが揃った。
以後、’68年の2nd『Days Of Future Passed』から
’72年の8th『Seventh Sojourn』まで、
全て同じメンバーでアルバムを制作。
私はその2nd~8thは全て持っている事になります。
では紹介していきましょう!
オリジナル・アルバム
・Days Of Future Passed(1967/2nd/国内CD)
好き度★★★★☆
ロックとオーケストラとの共演、
そしてコンセプト・アルバムという、
プログレらしさの2つの軸を兼ね備えた
記念碑的作品!
繰り返しになるが’67年でこのスタイルを実現したのは
相当に早かったと思われる。
1日の始まりから終わりまでを1枚のアルバムで
表現するというテーマが貫かれている。
曲そのものはそれほどプログレっぽくはないが、
大仰でなく効果的に使われるオーケストラの効果で
まるで1本の映画を見ているような
気分にさせてくれる。
ボーカルは誰か1人に任せるのでなく、
ほぼ全員が持ち回りで担当。
基本的に作者が歌うのかな。
私の国内盤CDではクレジットが無く
誰が歌っているのか分からなかったが、
参考にしている〇ィキペディアに詳しく書いてあった(笑)
ラストの⑦
「The Night: Nights In White Satin(サテンの夜)」
はシングルとして発売され、
リアルタイムでもヒットしたが’72年には
リバイバルで全米2位となる大ヒットとなった。
哀愁漂うメロディとメロトロンが印象的な
永遠の名曲!
・In Search of the Lost Chord(1968/3rd/国内CD)
好き度★★★★★
邦題は『失われたコードを求めて』。
私的にはコレが一番プログレっぽく感じるかな。
本作もコンセプト・アルバムで、テーマは
“ドラッグ体験で得られるもの”らしい。
私は体験した事が無いので、コレを聴いても
だからどうとか感じることができないが、
それはさておき楽曲の充実ぶりは目を見張るものがある。
不気味なジャケット・アートはフィル・トラヴァース
という人物によるもので、以後
’72年の8作目『セヴンス・ソジャーン』までの
全てを手掛ける。
スピーディーな②「Ride My See-Saw」、
アルバムのハイライトとも言える、ライブでも定番ぽい
⑤「Legend of a Mind(ティモシー・リアリー)」、
サイケな⑧「The Best Way to Travel(より良き旅路)」
などを筆頭にイイ曲揃い!
どことなくアジア的なフレーズが多く飛び出すが
それらを総まとめしたようなラストの
⑫「Om」は、まるで天国の様子を音で表現したようだ。
・On the Threshold of a Dream(1969/4th/輸入LP)
好き度★★★★☆
邦題は『夢幻』。
オープニングはSEのような①「In the Beginning」
で幕を開ける。このように
最初にSEを配置するのは定番となり、
このテの作品はドラマーのグレアム・エッジが
手掛ける事が多い。
3作目ともなると、各ソングライターの
作風の違いがハッキリしてきており面白い。
割とメンバー同士での共作が少ないが、
何となく分かるような気がする。
⑦「Never Comes the Day(今日も明日も)」、
⑨「Are You Sitting Comfortably」での
アコースティックギターが優しく響く。
しかし今回のジャケも不気味…
・To Our Children’s Children’s Children(1969/5th/輸入LP)
好き度★★★☆☆
邦題は『子供たちの子供たちの子供たちへ』。
前作から約7ヶ月後という短いスパンでリリースされた。
本作ではアポロ11号の人類初の月面着陸に
大きなインスピレーションを受けた、との事。
全体的にシンプルなサウンドだが、
効果的に使われるメロトロンが実に”らしい”
雰囲気を醸し出している。
前作まで非常にソングライティング面で
ジャスティン・ヘイワードが目立っていたが
本作ではやや控えめ?
代わりにジョン・ロッジが頑張っている印象。
サイケ・サウンドに彩られたマイク・ピンダー作の
⑪「Sun Is Still Shining(太陽は輝き続ける)」も
いい味を出している。
しかしアルバム通しての印象がやや
地味過ぎるかなぁ~😅
・A Question of Balance(1970/6th/国内LP)
好き度★★★★☆
メンバーによれば、録音は過剰なオーバーダビングを避け、
ライブ演奏に近いかたちで行われたそう。
本作のジャケット・アートでは色んなものが描かれ、
中にはアインシュタイン博士と思われる人物もいるが
何だかよくわからん(^^;)
前作の地味なイメージとうって代わって、
ダイナミックなイントロからスピーディーなロックへと
なだれ込む①「Question」でつかみはOK!
途中、メロウな部分を挟んでまた主題に戻る
プログレ的展開も持つ、前作ではやや目立たなかった
ヘイワードの作。
レイ・トーマスの手によるフォーキーな
③「And the Tide Rushes In(そして波が打ち寄せ)」
も個人的にはたまらない。
ジェントルな歌声がいいっすなぁ~
⑥「It’s Up to You」は、作者であるヘイワードの、
派手さは無いがツボを心得たギター・プレイが
実にこの人らしいなぁ~と思う。
このバンドにはこういう曲が多いので、
作曲している数は各メンバー、同じくらいに見えるが
中でも中心的な役割を果たしていたのが
ヘイワードなのかな、と感じたりもします。
ややトラディショナルな香りもある
⑦「Minstrel’s Song(吟遊詩人の歌)」も好き。
タイトルからして曲調は意図的なものかな。
・Every Good Boy Deserves Favour(1971/7th/国内CD)
好き度★★★★☆
ファンタジックなジャケットに包まれた7作目。
全英1位、全米2位を獲得。
前作も全米3位で、プログレに類するバンドとしては
かなりアメリカで売れている。
冒頭で地味だのなんだの言ってしまったが、
普遍的な曲の良さがセールスにも
つながっているのかも知れません。
まるで映画の効果音のような①「Procession」
で始まる本作は、前作までと比べるとやや
スケール感が大きくなっているような気も。
しかしジョン・ロッジが自分の娘のために作ったという
④「Emily’s Song(エミリーの歌)」のような
牧歌的なテイストも健在。
さらにドラマー、グレアム・エッジの作としては
珍しくヴォーカル入りの⑤「After You Came」は
曲調も珍しくハード・ロック調だ。
ラストを飾るキーボードのマイク・ピンダー作
⑨「My Song」は気合の入ったプログレ作品。
・Seventh Sojourn(1972/8th/国内CD)
好き度★★★★★
通算8作目だが、タイトルは現体制になってから
7作目であることを意識したものかと思われる。
本作発表後、バンドは活動休止期間に入っており、
ここまでの集大成であるが如く
楽曲が充実しまくっている。その成果か、
全米アルバムチャートではついに1位を獲得した。
全曲が名曲と言ってもいいが、特に
⑤「You and Me」のエンディングでのギターが
ヘイワードらしくて心に残る。
ライブ・アルバム
・Caught Live+5(1977/国内CD)
好き度★★★★☆
リリース時はLP2枚組で、1~3面にライブ、
4面にはこれまでのアルバムに収録されなかった
スタジオ音源が収録されていた。
ジェネシスの『スリー・サイズ・ライブ』と同じね。
’77年の発売だがライブ音源の録音は
’68~’69年のもの。
スタジオ・アルバムよりいくぶんラウドな演奏、
そしてライブでも見事なコーラス・ワークを
キメている様子が堪能できる。
ちなみに2025年3月現在、
我が家の棚の中で最も新しく
コレクションに加わった一枚です。
バンドはこのライブ・アルバムの売り上げが
好調だったことをきっかけに再始動。
メンバーの入れ替わりは激しくなったが活動を継続。
2018年に解散宣言はせずに活動を終了した。
ではでは、
お付き合いいただきありがとうございました!
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