no.140
JUDAS PRIEST(ジューダス・プリースト)U.K.
まいどー!
今回は、メタル・ゴッド、ジューダス・プリースト登場!
ジューダスは、個人的にとても思い出深いバンドです。
高校生の頃、地元の友人たちと
ジューダスのコピーバンドを結成し、
相当な数の曲をレパートリーとしていました。
若き日の私のギター技術向上に随分と
寄与してくれたバンドなのです。
ヘヴィ・メタルと言えば、即、ジューダスを
思い浮かべる人も少なくない。
それ程、象徴的な存在でメタル・ゴッドとも称される。
’80年代前半のメタル・ブームでは、
アイアン・メイデンとまさにツートップ的な活躍で
シーンを牽引しました。
しかし’80年代の幕開けと共に世界を席巻した
ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル
(NWOBHM)の申し子的な存在だったアイアン・メイデンに対し、
ジューダスの結成は1970年頃?と古い。
(結成の経緯はやや複雑で、
詳しくはウイキ○ディアをどうぞ)
デビューは’74年。
初期の音楽はいわば
’70年代ブリティッシュ・ハードロックと言えるもので、
叙情的でプログレッシブな展開も多かった。
やがて音楽性をソリッドでヘヴィなものへと絞り込んでいき、
メタル・ブームとのタイミングもバッチリ合い、
大ブレイクとなりました。
ウリは、何と言ってもロブ・ハルフォードの
超絶ハイトーン・ボイスと、
グレン・ティプトン、K.K.ダウニングによる
ツイン・リード・ギターでしょう。
低く唸るような低音から、ヒステリックなまでの
高音シャウトで4オクターブの声域を持つと言われる
ロブの声はそのままメタルのアイコンともなりえる。
また、全くタイプの異なるリード・ギタリスト2人による
ツイン・リード。
正確無比で、難易度が高そうなフレーズもサラっと
キメて魅せるテクニシャン・タイプのグレン・ティプトン。
ややルーズでブルージーなK.K.ダウニング。
ソロ担当の比率は、グレンがやや多いように思うが
長くてアドリブっぽいソロはK.K.が多いなど、
それぞれの持ち味を生かしているし、
グレン→K.K.→グレン→K.K.とソロを回した後、
2人でハモるという様式美的な演出も、
メタル少年の胸を熱くするのに十分な魅力がありました。
それでは所有アルバムを紹介していきます!
オリジナル・アルバム
・Sad Wings of Destiny(1976/2nd/国内CD)
好き度★★★★☆
邦題は『運命の翼』。初期の傑作!
後年まで長くライブで演奏された楽曲を多く収録。
前述の通り、この頃は叙情的なブリティッシュ・ハード
といった音、曲作りで、
①「Victim of Changes(生け贄)」、⑦「Genocide(虐殺)」
などの大作、
③「Dreamer Deceiver(夢想家)」~
④「Deceiver(裏切り者の歌 (夢想家 II))」
に見られる組曲的展開、
アナログにおけるB面トップに⑤「Prelude」を
序曲っぽく配するなどプログレッシブ的、
またトータル・アルバムを思わせるような内容です。
ここでの収録曲を後年も演奏し続けたほど、
メンバーもお気に入りなのかも知れません。
この時のメンバーは
・Rob Halford(ロブ・ハルフォード)vo
・Glenn Tipton(グレン・ティプトン)g
・K.K.Downing(K・K・ダウニング)g
・Ian Hill(イアン・ヒル)b
・Alan Moore(アラン・ムーア)ds
ドラマー以外の4人は、’90年にロブが脱退するまで
不動であった。
まだ演奏面ではあまり洗練されておらず、
ちょっともさい感じがしないでもないが、
原曲の良さは十分に伝わる。
収録曲の中でも特に長く演奏され続けた
①「Victim of Changes(生け贄)」の、
恐らくロブ脱退~復帰後と思われるライブ映像が
you tubeに上がっていて容易に視聴出来ますが、
長年の演奏により熟成され、かつ
衰えを知らぬパワーを兼ね備えた見事な
ヴァージョンとなっています。
激烈カッコいい!
・Sin After Sin(1977/3rd/国内LP)
好き度★★★★☆
邦題は『背信の門』。
前作と同様、何か物語がありそうなジャケットに包まれた、
ドラマティックなブリティッシュ・ハードロックが
聴ける名盤。
本作制作時はドラマーが不在で、レコーディングには
後に名セッション・ドラマーとなる
Simon Phillips(サイモン・フィリップス)を起用。
①「Sinner(罪業人)」、⑤「Let us Prey(危害者)」
という2曲の大作を軸に、小品をバランスよく
ちりばめる。
個人的には⑤の出来が素晴らしいと思うのですが
あまりライブでやっていない…みたい?
この頃までは、キーボードやアコースティック・ギター
の使用も見られます。
後年にはほぼ皆無となるので、
これも興味深い。
とても良いアルバムだと思うのですが、
唯一気に入らないのが、音質。
なーんか、全体的に丸くて、こもってる。
ギターはモコモコしてるし、
本来シャープなはずのサイモン・フィリップスのドラムも、
ペシペシしてて軽い。
元ディープ・パープルのロジャー・グローヴァーによる
プロデュースとの事ですが…なんだかなぁ。
プロデューサーのせいなのか、そもそもバンドが
こういう音を出していたのか、分かりませんけど。
もし、本作の音がもっとエッジの効いた
ハード&ヘヴィなものだったら、
もっと全然違った印象になっていたでしょう。
・Stained Class(1978/4th/国内CD)
好き度★★★☆☆
必殺の名曲①「Exciter」を含む4作目。
本作から、正式なドラマーとして
Les Binks(レス・ビンクス)が加入。
手数が多く、かつリズムは正確、
そしてパワフルと強力なメンバーが入って
盤石な体制となった
…んですけど、何かこのアルバムも音が丸くて
どうもねぇ…
一般的な評価は非常に高いようですけど、
私個人的には他のアルバムの方が好きかな。
時代的にはハード・ロックからヘヴィ・メタルへの
過渡期にあり、
⑧「Beyond the Realms of Death(死の国の彼方に)」
のような’70年代的な叙情的な曲は
この後どんどん減っていく。
・Killing Machine(1978/5th/国内LP)
好き度★★★★☆
邦題は『殺人機械』。
これこれ!こういう音で聴きたいのよ。
エッジの効いたギター・サウンドに加え、
ドラムの音もドスドスと低音が腹に来る。
アメリカ盤のみ、ライブでの定番となる
フリートウッド・マックのカヴァー、
「The Green Manalishi」を収録。
私の国内盤LPはイギリス盤に基づいているため
入ってません。
・Priest in the East(1979/live/国内LP)
好き度★★★★★
※今回より、ライブ盤、編集盤等も
リリース年順に掲載してみる事にします。
ジューダス初のライブ・アルバム。
数ある「ライブ・イン・ジャパン」ものの中でも傑作!
ベスト盤的な選曲で、
’70年代のジューダスを総括するような
内容となっています。
収録曲のほとんどがオリジナル・ヴァージョンよりも
洗練され、パワーアップしてワイルドに迫ってくる。
グレンとK.K.のギター・コンビネーションも
よく聞き取れるし、
ロブの伸びやかなヴォーカルも素晴らしいが、
実はヴォーカル・パートは、
宿泊していたホテルの空調が原因でライブ当日は
喉の調子が悪く、後で録り直されたもの。
LP時代は、30cmLPと17cmEPの変則2枚組での発売でした。
・British Steel(1980/6th/国内CD)
好き度★★★★☆
’80年代の幕明けと共に、
それまでの叙情性や様式美を取り去り、シンプルに、
徹頭徹尾ヘヴィーなスタイルを作り上げたアルバム。
NWOBHMの台頭とタイミングもバッチリ合い、
大ブレイクを果たします。
ヒット・シングルとなった①「Breaking the Law」、
⑥「Living After Midnight」の他、
ジューダスに対する愛称にもなった
③「Metal Gods」も収録。
ラストを飾る⑨「Steeler」のエンディングでの
延々とリフを重ねまくる様は圧巻!
ギター・サウンドもメタルの音だ。
また本作からドラマーが元トラピーズの
Dave Holland(デイヴ・ホーランド)に交代。
前任者と違い手数が少なく、
シンプルで非常にタイトなドラマーです。
彼の在籍時のライブ映像が結構数多くありますが、
スティックを押し付けるような叩き方が印象的。
なお、私の所有する国内盤CDは
アメリカ盤に基づいていていますが
現在ではオリジナル・イギリス盤に内容が
統一されている、との事。
曲順がだいぶ違うみたい。
・Point of Entry(1981/7th/国内CD)
好き度★★★☆☆
このアルバムの私の印象は、かつて『軽い』でした。
今回、数年ぶり聴いたが、やはり印象は
変わりませんでした。
この時もまだ私のリアルタイムでは無いため、
ヘヴィ・メタルとしての出世作『British Steel』(’80)や
金字塔『Screaming for Vengeance』(’82)を
聴いた後で本作を聴いたのですが、
その間に位置する本作の『軽さ』が非常に疑問でした。
この軽さは一体何か?
サウンドの軽さではありません。
本作についての評伝などを読むと、
アメリカでの成功を狙いポップ化したが
今までのファンからはかなりボロクソな評価を下された
…といったところらしい。
しかし、その疑問を取っ払って聴けば、
別に悪いアルバムではありません。
むしろ、一風変わったジューダスが楽しめる、
といった側面もあるかと思います。
ギター・リフにしてもロックンロール風あり、
ちょっとだけレゲエ風もあったり。
珍しくブルージーなアプローチのヴォーカルあり、
もしかして意図的にメタル的な表現を
避けたのでは?という気もしないでもない。
でも確かに、『British ~』や『Screaming ~』が
大好きな人がコレ聴いたら、「なんじゃコレ!?」
ってなるかもなあ…
・Screaming for Vengeance(1982/8th/国内CD)
好き度★★★★★
邦題は『復讐の叫び』。大出世作。
ヘヴィ・メタルとはどんな音楽か?
と訊かれたときのお手本のようなアルバム。
これから始まる一大メタル絵巻の序曲①「The Hellion」
から②「Electric Eye」への流れは、
今聴いても鳥肌モノのカッコ良さ。
その後も怒涛のメタル・ソングが飛び出すが、
改めて聴き直すと中盤からは意外に
バラエティーに富んだ曲調であることに少々驚いた。
それは多分、『British Steel』や『Point of Entry』
とも違う表現方法なのでしょう。
メタル・ゴッドとしての地位を確立しつつ、
自らが通った’70年代風ロックにも、
さらにこれからのヘヴィ・ミュージックにも
目を向けた傑作!
私事ですが、前述の友人と組んだコピーバンドで、
このアルバムから何曲かやりましたが、中でも
⑩「Devil’s Child」は気分よかったな~
またやりてー🎸
・Defenders of the Faith(1984/9th/国内CD)
好き度★★★★☆
邦題は『背徳の掟』。
前作で確立した作風はそのままに、
よりヘヴィな方向へ前進したような印象かな?
かつての名曲「Exciter」を思わせる
①「Freewheel Burning」のインパクトが大。
破壊的なギターソロが印象的。
⑤「Love Bites(誘惑の牙)」のようなモダンな、
ちょっとメタルとは違う感覚も
持ち合わせているところがまた凄い。
前作同様、動物と機械の混合生物のような
キャラクターが描かれる。
・Priest…Live!(1987/live/国内LP)
好き度★★★★☆
バンド2作目のライブ・アルバム。
収録曲は全て前のライブ『Priest in the East』以降に
発表されたもので、『East』とは1曲もダブらない。
ところどころ、原曲には無いところに
ギターソロがフィーチャーされてたりして
ニヤリとさせられる。
ややミキシングが大人しく、ギターとか
ちょっとコンプがキツイような気がしないでもないですが、
人気絶頂の頃のライブの様子を伝える
いいライブ盤と思います。
・Painkiller(1990/12th/国内CD)
好き度★★★★☆
’79年からドラマーを務めてきたデイヴ・ホーランドが脱退、
新たにScott Travis(スコット・トラヴィス)が加入、
現在でもジューダスのドラマーです。
プロデューサーも『Priest in the East』以来、
長年の付き合いだったトム・アロムから
クリス・タンガリーディスへと交代。
いきなり新加入のスコットのドラム・ソロで始まる本作、
このソロで聴けるツイン・バス・ドラムに
象徴されるように、これまでになかった要素が多々ある。
デイヴ時代にはなかったツーバス・ドコドコの
ドラミングの他、
ギター・リフにはスラッシュ・メタルで使われるような
音階を多用。
ロブの金切り声も何だか呪術的な感じ。
私は持っていませんが、『Turbo』(’86)、
『Ram It Down』(’88)ではギター・シンセの導入、
曲のポップ化、簡素化などが物議を醸していたそうな。
その頃といえばヘヴィ・メタルのシーンは
そろそろ勢いを失い、メタルの中で細分化が進んだ、
そんな時期ではなかったか。
これからの時代を見据えての試みは
ファンにはあまり受け入れられなかったようですが、
本作では迷いが無い。
ジューダスの新たなスタートとも言える作品だが
これを最後に何とロブが脱退。
しかしバンドは新ボーカリストを入れて存続、
2003年にはロブ復帰。
今度はK.K.が脱退するも、
現在もバンドは存在するようです。
以上です!
ではでは、
お付き合いいただきありがとうございました!
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