はい、こんにちは!
今回はこの方たちでございます。

ANGE(アンジュ)FRANCE

’70年代フランスを代表するバンドであり、
私にとって非常に思い出深いバンドでもあります。

今から30年近く前、21~22歳くらいの頃でした。
私は「今日は○○のCDを買う!」とかお目当てを決めずに
ブラブラとCD・レコード店を巡り、
その時出会った物を買って帰るのが好きでした(今も)。

その日も目的なく出かけ、たまたま出会った非英語圏の
ロック・バンドのCDを3枚買って帰りました。
私にとって初めての英語じゃないロックです。
そのうちの一枚がこのANGEでした(あとの二枚は、
共にイタリアのI Poohと、Banco del Mutuo Soccorso)。
ここから、英米には無い独特な世界への扉が開いたのです。

ANGEを端的に表すキーワードとしては、
プログレ/ヘヴィー/ダーク/シアトリカル
あたりになるでしょうか。

サウンド的には、とにかくChristian Décampsのヴォーカルが
圧倒的な存在感を放つ。
一聴しただけで、ステージングはシアトリカルなものだろうと
容易に想像できる、声色をいくつも使った
一人芝居的な歌いまわし。もしライブを最前列で見てたら、
きっとツバをたくさん浴びるんだろうなと妄想しちゃいます。

そしてChristianの弟、Francis Décampsの操る、
アンジュ・オルガンと呼ばれる独特のオルガンサウンド。
アタックがあるんだか無いんだか、
サスティーンがあるんだか無いんだかビミョーな、
メロトロンっぽくもある、他に類を見ない独特な音。
非常に特徴あります。

Jean-Michel Brezovarのギターはとてもアグレッシブ、
Daniel Haasのベース、Gerad Jelschのドラムスも
どっしりとして骨太。
バンドサウンドも非常に聴きごたえあるものです。
フランスの国民的バンドと言われていた時期もあるらしいですが
それに相応しい堂々たる威容を誇ります。

では私ン家の棚にある方々をご紹介!
オリジナル・アルバム

・LE CIMETIERE DES ARLEQUINS(1973/2nd/輸入CD)
好き度★★★★
暗い。とにかく暗い。
私の持っている彼らの4枚のアルバム中、最も暗い作品。
他のアルバムにはもう少し明るい曲も入ってますが、
心底明るいという曲は皆無で、表面上は明るくても、
その向こうには暗い狂気が見え隠れするといったタイプの
ものが多く、こういった雰囲気はGENESISにも通じるものが
あるように感じます(音楽そのものは似ていない)。

オープニングを飾る「Ces gens-la」からして、もう暗黒です。
陰鬱で地獄へと引きずり込まれそうな演奏が延々と続き、
Christianの狂気じみたセリフのようなヴォーカルが迫りくる。

これ、英語とか他の言語だったらきっと雰囲気が
変わっちゃうんでしょうね。
一般的には優雅に聴こえるフランス語が、怖く聴こえます。
同時期、フランスでANGEと人気を二分したとされる
もう一方の雄、ATOLLのヴォーカル、Andre Balzerの
フランス語のヴォーカルとは全く違うニュアンスで迫る。
(ATOLLもA始まりだからもうすぐご紹介いたします)

ちょっとだけイントロがTHE ROLLING STONESの
「黒くぬれ!」を思わせる②
「Aujourd’hui c’est la fete de l’apprenti sorcier」
を経て、③「Bivouac 1ere partie」は可愛らしいイントロ
で始まるのに、後半またドロドロに・・・でもカッコいい!
この曲の終盤にはジャジーなインプロビゼーション・パート
があり、アコースティックな小曲をはさみ、再び
インプロビゼーションが帰って来るというプログレ的展開もある。

中盤もアコースティック・サウンドも交えながら進み、
ラストの大曲⑧「Le cimetiere des arlequins」は
極めつけの地獄行き暗黒プログレ!

・AU-DELA DU DELIRE(1974/3rd/国内CD)

好き度★★★★★
国内盤だったので『新ノア記』という邦題が付いていた。
彼らの最高傑作との呼び声高い一枚。
このアルバムこそ、私が初めて手にしたヨーロピアン・ロックの
3枚のうちの1枚なのです。
3枚とも、とても良いアルバムでよかった(^^)
だからこそ、その後も色々と手を伸ばし、
良い作品にたくさん巡り会えたのです。

脚が地面と同化しながらも土を耕す農夫が描かれた
イマジネーションを掻き立てられる見事なジャケット。

ある物語に沿ったコンセプト・アルバムらしく、
一人の農夫ゴドヴァンが時空を超えた旅に出て王になろうとする、
というような、ざっくり言えばそんな内容らしい。
歌詞の日本語訳も付いているんですが、
それを読んでもなお、よくは解らない(^^;)
ま、洋楽のコンセプトアルバムってそんな感じだよね(笑)

私のはプラケース仕様ですが、ブックレットには
オリジナルLPに印刷されていたであろう、
一曲づつに描かれた物語を表すイラストも再現されており、
非常に丁寧なリイシューだと思います。

内容は、相変わらず暗く狂気じみていますが、
前作より、分かりやすさが加わった気がします。
それをポップになったと言っていいのかは難しいところですが。

物語の見事な導入部①「Godovin Le Vilain(農夫ゴドヴァン)」
を経て、②「Les Longues Nuits D’isaac(アイザックの長い夜)」
はChristianのヴォーカルが素晴らしい。
シアトリカルなだけでなく、歌唱力、声量も相当なもの
だと推察されます。

④「Ballade Pour Une Orgie(酒神祭のバラード)」は
アコギ、オルガンにヴォーカルだけのシンプルな小曲ですが、
必殺の名曲!とにかくメロディーがいい。
サビの2声によるハモりは本当に見事!
ANGEは基本的にメロディーがとても良いバンドなのです。

で、壮大な⑤「Exode(出エジプト記)」は中盤のハイライトか。
シンフォニックなイントロから三拍子に転じ、
美しく楽し気な歌メロ、ブレイク後にハードロックな展開をし
ギターソロが炸裂する、王道な感じの曲。

激ダーク&ヘヴィーな⑥「La Bataille Du Sucre(砂糖戦争)」
を経て、力強い⑦「Fils De Lumiere(光の子)」。
とにかく力強い。4分に満たないコンパクトさでありながら、
歌メロに続く、オルガンが1音づつ上昇していく見事な間奏部。
再び歌メロ、間奏部ときて、それに続くエンディングパート
に入った時の解放感!完璧です。

ラスト⑧「Au-dela du delire」
前曲とクロスフェードして聴こえてくる、
トラディショナルな雰囲気のアコギ。盛り上げるドラム。
恐らくChristian以外と思われるメンバーが
物語の登場人物に扮し、1パートづつヴォーカルを取る。
最後に主人公ゴドヴァンに扮したChristianが
ヴォーカルパートを締め、演奏がフェードアウトすると
小川の水が流れる音、鳥や動物、虫の声が聴こえてくる。
と思ったら、それを切り裂くように
大仰にシンフォニックな演奏が始まり、
それをバックにギターソロが縦横無尽に駆け巡る。
ここ、アルバムを通じて最大レベルになってて、
最初けっこうビックリするんだよな(笑)
それもまたフェードアウトしていくと、
深い余韻を残しながら再び自然界の音だけになる・・・

いやあ、数あるヨーロピアン・ロック、プログレ、さらに
ロック全般的に見ても、出色の出来のアルバムだと思います。
物語はよくわかんないけど(^O^)

・EMILE JACOTEY(1975/4th/輸入CD)
好き度★★★☆☆
Dr.がGuenole Bigerに交代したがプレイ、音質共に前任者に近い。
これまた何か物語性がありそうな老人のアップのジャケット。
時折挿入される老人の語りなどから、本作も何かしらの
コンセプト・アルバムなのだろうとは思っていましたが、
参考のためネットで色々と検索していたら、
何と実在するエミール・ジャコティ老人から話を聞いて、
それを元に作られたのだという。やる事がスゴイ・・・

前作の印象が余りにも強烈だったため、
どうしても私には地味目に聴こえてしまうのですが、
本作も、らしさ全開の好作品。

全体的にダークさがやや後退し、よりわかりやすくなったか。
しかしやはり、それがポップになった、
コマーシャルな内容になったというのとは違うように感じます。
やはり、変わる事のないChristianのヴォーカルが
ANGEを聴き手に印象付けるのでしょう。
音質的にも、これまでよりもハイがキツめの、
パキパキした音になったのもダークさが後退したと
感じる要因かも知れません。
最初から割と分かりやすいコンパクトな曲を並べた構成。
⑤「Ode a Emile」は素晴らしいバラード!

・PAR LES FILS DE MANDRIN(1976/5th/輸入CD)
好き度★★★★
ここでもドラマーがJean-Pierre Guichardに交代。
またまたイマジネーションを掻き立てられるジャケット。
タイトルと絵柄から、旅芸人一座の物語か何かで、
楽器のマンドリンが絡んでくるんだろうと思っていましたが、
楽器は関係なく人の名前のようです(^^;)

本作は英語版も製作されたようで、
これで世界に勝負をかける!的な作品だったのでしょうか。

私的には、本作は傑作の3rd『AU-DELA DU DELIRE(新ノア記)』
と少々似たところがあるような気がします。
これから物語が始まるぞ!という感じのオープニング、
語り調の曲もあり、アコースティック・バラードの④
「Autour Du Feu」と楽し気な⑤「Saltimbanques」は2曲で
3rdの名曲「Ballade Pour Une Orgie(酒神祭のバラード)」
を思い起こさせます。

ラストは10分近い大作「Hymne à la vie」。
三部構成で、一部はアコギとキーボードをバックに
ひたすら優しい歌のメロディーが聴ける。
二部ではリズム隊も入って、ほのぼのとした
アコースティック・ロックを展開。
ここでのメロディーもまた秀逸!
三部では壮大なシンフォニック・プログレとなり、
感動のエンディングを迎える。これがまた3rdのラスト、
「Au-dela du delire」とイメージがダブります。

なお、当時のTV番組と思われますが、
スタジオのセットでこのアルバムのほぼ全曲を生演奏している
映像をYouTubeで見つけました。驚異です。
昔は、そんなメジャーじゃないフランスのバンドの
画像なんてまず見られなかった。
今ってホント凄いな~

ライブ・アルバム 
・Tome VI(1977/輸入LP)

好き度★★★☆☆
これはつい去年(2019)買ったばかり。
’70年代の非英語圏ロックのライブ・アルバムは
あまり音質が良くないものが多いのですが、
本作は音も良く、ANGEのライブ・バンドとしての魅力を
よく伝えていると思います。
演奏も全盛期のライブとあって素晴らしい!

また、見開きジャケットにはライブの写真が多く
使われていて非常に興味深いです。
だいたいプログレ系のバンドって、ジャケットに
自分たちの写真を載せないパターンが多いですよね。
ANGEもそうなんですが、このライブ盤では写真の大盤振る舞い!
ほ~、ビジュアルはこんな感じかー、と想像を巡らせながら
聴くのもまた一興です。

以上、私はバンドの全盛期と言われる時代の作品しか持ってませんが
現在もANGEは存在するようです。
 

いやあ、今回も長いな(^^;)
週イチのペースで投稿するとしても、
年53回しか投稿出来ない。
いつ終わるんだぁ~と言いながらも
別に早く終わらせたい訳ではないんですけど。
では、お付き合いいただきありがとうございました!

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おざきゆうすけン家の棚no.12 ANGE

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