AFFINITY (1970/国内CD)
好き度★★★★☆
AFFINITY唯一のアルバム。
’70年代初期のブリティッシュ・ロックの
幻の名盤として長く語り継がれてきた一枚です。
今でこそCD化などで簡単に入手できますが、
一時はLPが高値で取引されていたとも聞きます。
このバンドの音楽を表すキーワードとしては、
プログレッシブ・ロック/オルガン・ロック/
ジャズ/ブルース/女性ヴォーカル
等が挙げられるでしょうか。
特にプログレッシブ・ロックのフィールドで
語られる事の多いAFFINITY。
しかしそんなにプログレの要素ってあるかなあ?
というのが最初に聴いた時の感想です。
まあ、何をもってプログレというか、
なんて定義など存在しないし、
その音楽性はバンドによってまちまちです。
聴いた人が好きに判断すればいいし、
音楽が良ければ別にジャンルなどどうでもいいのです。
ただCDショップに行くと、AFFINITYは大概
プログレのコーナーに置いてあります。
それが一番分かりやすいし売れるんでしょうね。
では、このバンドの何がプログレと言わしめるのか?
それは以下のような要素ではないでしょうか。
♬大々的にフィーチャーされたオルガン。
バンド・サウンドのメインと言ってもいいでしょう。
このオルガン+女性ヴォーカルの系譜がありますね。
同じイギリスのSTONE THE CROWS、ドイツのFRUMPYなど。
ロック・アルバムのカヴァーアート、
特にプログレの分野で素晴らしい作品を数多く残した
クリエイター、KEEFによる「らしさ」全開のジャケは、
何の予備知識が無くても見ただけで「お、プログレかな?」
と思わせる魅力に溢れています。
カラー写真ですが荒い質感、色あせたようで
原色が画面に無い不思議な世界です。
B級ながらも優れた作品を数多く輩出した
ヴァーティゴ・レーベルからのリリースだった。
たった一枚のアルバムで姿を消したバンドという神秘性。
これらの要素が絡み合い、やっぱりプログレというのが
一番しっくり来る、という事なのかも。
vo.Linda Hoyle
g.Mike Jopp
key.Lynton Naiff
b.Mo Foster
ds.Grant Serpell
実際に音の方を聴いてみると、やや陰があり、
ジャズ/ブルース/ファンキーという印象がまず強いです。
①「 I Am And So Are You」⑤「Three Sisters」
あたりはその典型で、ブラスセクションも入り、
ハスキーで中低域を中心に歌うLinda Hoyleが素敵。
長大な②「Night Flight」やBob Dylanのカヴァーで
Jimi Hendrixのヴァージョンも有名な
⑦「All Along The Watchtower」は多少プログレっぽいかな?
オルガン全開です!かと思えばストリングスを導入した
③「 I Wonder If I’ll Care As Much」のような
リリカルな曲もあります。
ボーナストラックが2曲入っていて、これがまたいいのです。
⑨「United States Of Mind」はアコースティックで
可愛らしい小曲。
メンバーの技量もかなりのもの。
決して稀少価値だけで名盤扱いされていたわけではない
という事がよくわかります。
急速に多様化していくロックの、最も勢いある時代の
数ある名作の一つだと思います。
LIVE INSTRUMENTALS 1969 (2003/輸入CD)
好き度★★★☆☆
いわゆる発掘音源。
1stアルバム発表以前、Linda Hoyleが声帯の治療のため
休養していた時期にインスト・バンドとして
活動していた時に録音されたもの。
収録曲の多くはブルース、ジャズ、またビートルズ等の
カヴァー曲で構成されています。
録音時期は1968~9年と古いが非常に音が良く、
vo.が入っていない分、バンドの楽器演奏の技量はむしろ
このライブ盤の方がよくわかるくらいです。
しかし、この頃まだ20代前半くらいでしょ?
なんて渋すぎる若者たちだ!
・・・その後1971年にLindaとLynton Naiffは
ツアーに疲れたとして脱退。
バンドは後任vo.にVivienne McAuliffe、
key.にDave Wattsを迎え2ndアルバムの制作に入るも、
完成することなくバンドは解散。
2nd用のデモ音源は2000年代に入ってから
『1971-72』としてリリースされました。
ここにも、とても良い曲が入っています。
完成を見なかったのが惜しまれます。
Vivienne McAuliffeは前任者よりも
ややきらびやかな声質のヴォーカリストでしたが
惜しくも1998年に亡くなっています。
Lynton Naiffを除くオリジナル・メンバーが集結し、
プライベートパーティーを催したそうです。
その時の写真が同サイトに載っているのですが
なかなかにいい写真です。
一度は袂を分かっても、年月を経ても
生きていればまたやれる!と思わせてくれます。
感じさせてくれるAFFINITYでした!
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