no.142 

KANSAS(カンサス)U.S.A.

こんにちは~
今回から「K」に突入!
一発目はカンサスです!

カンサスは1974年デビュー。
アメリカン・プログレ・ハードの代表格として有名。
イギリスに音楽留学した創設メンバーの一人、
フィル・イハートが現地で体験した、
当時最盛期だったプログレッシブ・ロックに衝撃を受け、
帰国後に結成したのがカンサス。

デビュー時のメンバーは
・Kerry Livgren(ケリー・リヴグレン)g,key
・Richard Williams(リチャード・ウィリアムス)g
・Steve Walsh(スティーヴ・ウォルシュ)vo,key
・Robby Steinhardt(ロビー・スタインハート)violin,vo
・Dave Hope(デイヴ・ホープ)b
・Phil Ehart(フィル・イハート)ds
の6人。
’81年にスティーヴ・ウォルシュがソロ活動の為脱退するまで
不動のラインナップでした。

音楽的には、ロックンロール、カントリー、ブルース、
ブギーなどを基調としたアメリカらしいハード・ロックに
プログレ的なアレンジや演奏を組み合わせたもので、
単なるイギリスのプログレの模倣にとどまらない
強烈なオリジナリティを発揮、
高く評価された。

演奏面では、ケリー・リヴグレンが
ギター、キーボード両方をプレイできるマルチプレイヤーで、
それによりツイン・ギターにも
ツイン・キーボードにも変幻自在。
またボーカリストもスティーヴ・ウォルシュと
ロビー・スタインハート、タイプの違う二人を擁し、
ハーモニーも美しい。
そこへロビーのクラシック調もカントリー調もこなす
ヴァイオリンという武器が加わり、
ますますプログレ感UP!
リズム隊は力強くハード・ロック的疾走感で
バンドを引っ張る。
もちろん演奏力は高い。

では、所有アルバムを紹介していきましょう!

・Kansas(1974/1st/国内CD)

好き度★★★★★
邦題は『カンサス・ファースト・アルバム』。

カンサスは’70年代のバンドなので、
私としては年代を遡って聴いているわけです。
そういう時、まず有名なアルバムから聴いていく
というのはよくある無難な聴き方で、
カンサスの場合も私はまず大ヒット作の
4、5枚目から聴いていって、
あまり有名でない本作は一番後回しになり、
そんなに聴き込んでませんでした。

しかしこのブログ書きのため改めて聴いてみて、
“こんなに良かったのか!”と驚嘆。
思わず★5つにしました!

よく1stや初期の作品に用いられる形容、
“荒削りだが云々…”という表現は必要ない、
堂々たる完成度だ。

まず1~2曲目は軽快な曲調で入ったあとの
雄大なバラード③「Lonely Wind(寂しき風)」が素晴らしい。

そして後半はプログレ大曲の連打!
⑤「Journey from Mariabronn(栄光への旅路)」
⑦「Aperçu(アパージュ)」そして
⑧「Death of Mother Nature Suite(母体崩壊)」
の怒涛の展開は圧倒的。

特に⑦の、ヴォーカル・パートでのシンフォニックな響き、
中間部のインスト・パートでのスリリングさ、
エンディングでの音の洪水。
プログレ・ファンならやられます(笑)

曲を聴いていれば何となくイエス、ジェネシス、EL&P
あたりをお手本にしているんだろうな、
というのは感じますが、やはりこれは
カンサスでないと聴けない音。

ビルボードのアルバム・チャートでは最高174位と
アクションは地味でしたが、これは傑作と思います!

ところでジャケットのイラスト、
南北戦争あたりがモチーフになっているのかな。
それにしても中央の人物、デカ過ぎない??

・Song for America(1975/2nd/国内CD)

好き度★★★★★
個人的にはコレが一番好きかも?

軽快なロックンロールの①「Down the Road」で幕を開ける。
中間部のギター、バイオリンのユニゾンが小気味いい。

続く②「Song for America」は、まるで交響曲のような
重厚なイントロで始まるプログレ大曲。

①のような作風はウォルシュ、
②のようなプログレ大作はリヴグレンの
作風によるところが大きい。
ほとんどこの2人がメイン・ソングライターで、
他の曲でも作風の違いがハッキリしている。

ラストを飾る
⑥「Incomudro-Hymn to the Atman(宇宙への祈り)」は
12分に及ぶ超大作。
これぞプログレという演奏が展開され、
最後の大爆発に向かって疾走するエンディングはド迫力!
本場イギリスのプログレ・バンドにも負けてません。

・Masque(1975/3rd/国内CD)

好き度★★★★
邦題は『仮面劇』。
リアルタイムでは本作が日本で最初のリリースでした。
前作から短いスパンでの制作だがきっと
アイデアが泉のように湧き出て止まらないくらいの
時期だったのでしょう。
前作に引けを取らないばかりか、
この後更なる飛躍を遂げるのだからスゴイ。

ウォルシュ節ともいえる小気味いいロックンロール
①「It Takes a Woman’s Love」、
リヴグレン作のヘヴィ・プログレ・ハード、
③「Icarus(銀翼のイカルス)」に表れているように、
本作でも二人の異なる作風がうまくマッチ。

そして、ウォルシュの高音が伸びやかなヴォーカルも
カンサス・サウンドになくてはならないものに
なっている。
ほぼウォルシュがメイン・ボーカルとして
固定されている感じだが、
曲によってはパート分けでリードを取るスタインハートの
ちょっとワイルドなヴォーカルも
上手く変化をつけている。

ラストを飾る⑧「The Pinnacle(尖塔)」もまた
リヴグレンの才能爆発の名曲。
壮大なエンディングが素晴らしい!

・Leftoverture(1976/4th/国内CD)

好き度★★★★
邦題は『永遠の序曲』。
全米ビルボード・アルバムチャート5位を記録した
大ヒット・アルバム。

シングル・ヒットもした①「Carry On Wayward Son(伝承)」
のキャッチーなコーラスからギターがうなる
ハード・ロックへと変化する流れが見事。

大ヒット作となったが、急に売れ線に路線変更
したわけではなく、もともとこういう
キャッチーなハード・ロックが信条なのでしょう。
それをコーティングしていたプログレ風味よりも
ほんの少しだけハード面を前面に押し出しただけの事、
なんじゃないですかねえ・・・

④「Miracles Out Of Nowhere(奇跡)」もイイ。

⑧「Magnum Opus(超大作)」は文字通りの超大作!
威厳すら感じさせるイントロから紡がれる
プログレ絵巻に脱帽です。

作曲はほぼ全曲リヴグレン。スゴイ才能だ!
ファンタジックでいかにもプログレっぽいジャケットも好き。

・Point Of Know Return(1977/5th/国内CD)

好き度★★★★
邦題は『暗黒への曳航』。

前作を上回る全米4位を記録。
シングル・カットされた
⑥「Dust In The Wind(すべては風の中に)」も
シングル・チャート6位の大ヒットとなった。

①「Point Of Know Return(帰らざる航海)」の
ポップ性とプログレッシヴ性の融合が見事!
キャッチーな歌メロ、ツインボーカル、
そして全編に渡りバイオリンをフィーチャー。
覚えやすいサビは実は変拍子。
わずか3分ほどの間にとても濃密な音世界が広がる。

前作に増して曲のコンパクト化が進んでいるが、
特にポップになってはいない。

・Two For The Show(1978/国内CD)

好き度★★★★
カンサス初のライブ・アルバム。
『永遠の序曲』と『暗黒への曳航』の
リリースに伴うツアー時の音源で構成。

バンドがノリにノッている時期の演奏だけに、
テンションもクォリティも文句なし!
ライブでもこの緻密な演奏を再現できる、
彼らの実力がよくわかる一枚です。

アメリカン・ハード・ロックというと
おおらかでラフなイメージが先行するが
そうではないものもあると証明する名盤!

カンサスのライブと言えば、
私も3度ほど見た事があります(多分’99、’01,’11)。
多少メンバーは変わっていましたが
素晴らしいライブでした。

・Monolith(1979/6th/国内LP)

好き度★★★★
邦題は『モノリスの謎』。
古代インカ帝国のモノリス伝説に着想を得て
制作されたコンセプト・アルバム。

時代はパンク、ニューウェーブの嵐が吹き荒れる中、
特に作風を時代に合わせるようなことはせずに
我が道を行っている。

その割には、全米最高10位を記録するなど、
かなり売れている。
時勢的には完全に時代遅れという気がするのですが…

その辺はアメリカとイギリスでは事情が違うかも知れないし、
アメリカの方が新旧分け隔てなく楽しむ
土壌があるのかも。
またカンサスというバンドが本当に人気があるんだなあと
思わされます。

バンドは翌’80年作『Audio Visions』まで
不動のメンバーで活動したのち、
スティーヴ・ウォルシュがソロになるため脱退。

その後はメンバーの交代/復帰を繰り返しながら、
現在も存続。
ワイルドな風貌でバイオリンを弾きまくる姿が
印象的だったロビー・スタインハートは
2021年、惜しくも亡くなっています。

今回はここまで!
ではでは、
お付き合いいただきありがとうございました!

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おざきゆうすけン家の棚no.142 KANSAS

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