no.136

THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE
(ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス)U.S.A.

毎度どもー!

さあ、ジミヘン登場です!

ジミ・ヘンドリックス。
ロック・ギターの革命児、
ロック・ギター史上の最重要人物。
没後50年以上を経た現在でもなお、
このような評価には揺るぎが無い。

わずか4年ほどの活動期間で、
その革新的なギター・プレイで
多くのミュージシャンに影響を与えながら、
27歳の若さで突然この世を去った事で、
その伝説性はさらに強くなったと言えるでしょう。

しかし、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの
3枚のアルバムは’68年までにリリースされました。
私の生まれる前のことであり、
ジミ登場の衝撃をリアルで感じる事は出来ません。

私がジミのアルバムをちゃんと聴いたのは
20歳を過ぎてから、’90年代の事です。
その今日的な耳で聴けば、
ジミのプレイは非常にオーソドックスなものに感じました。
しかし同時に、この人が今も生きていたら、
きっと今もなお凄いだろうな、とも思いました。

では、一体何がそんなに凄いのか?
今回、アルバムを聴き返しながら
自分なりに考えてみました。

まず、場面転換のスムーズさ。
ゆったりしたフレーズから早いフレーズへ。
低い音域から高い音域へ。
メロウなトーンからシャープなトーンへ。
弱いピッキングから強いピッキングへ。

こういった場面転換で無理や無駄が全く無いです。
まさに縦横無尽、自由自在に思い通りにギターを
操っているように感じられます。

そして、バッキングでの芸の細かさが尋常じゃない。
どうしても派手なギターソロに耳が行きがちですが、
歌のバックでも物凄く細かいことをやっている。
まるで、バッキングとソロの区別などなく、
それ自体がひとつのプレイスタイルのよう。

まあこの辺は、自身がギター兼ヴォーカルである事や、
トリオという自由度の高い編成という事も
大きく関わっているかも知れませんが、
とにかく全てが聴きどころといった感じ。

また、その活動の舞台も特異なものでした。

黒人でありながら白人とバンドを組み、
ロックという白人性の強い音楽、
なかでも特に白人性の強いハードロックという
ジャンルにまで踏み込んで活動したというのは
先進的だったし、現在でもなおそういう事例は
けっして多くは無い。
(その事で当時、黒人社会からは白人に魂を売ったと
批判されたりもしたようです)

この辺については、ジミを見出しデビューに尽力した
元アニマルズのチャス・チャンドラーの影響も
あるのかも知れませんが・・・

’67年といえば、まだハードロックもジャンルとしては
確立されておらず、目新しいものは
アート・ロックとかニュー・ロックなんて
呼ばれていた頃。
ハードロックの草創期にいた一人としても、
歴史にその名を残すこととなった。

では、アルバムを紹介していきましょう!

・Are You Experienced(1967/1st/国内CD)

好き度★★★★★
ジミはチャス・チャンドラーに見出され渡英。
エクスペリエンスのあと二人はイギリス人。
・Noel Redding(ノエル・レディング)b
・Mitch Mitchell(ミッチ・ミッチェル)ds
この三人でイギリスでデビュー。

ライブでの、歯でギターを弾いたり、
ギターを背中に回して弾いたり、
火を放って破壊するなどの派手なパフォーマンスが
注目されたが、この1stは
ジミのソングライターとしての魅力が
いっぱい詰まった一枚となった。

インプロビゼーションは抑え目に、
コンパクトな曲が並ぶがどれも名曲揃い。
ジミといえば、の代表曲「Purple Haze(紫のけむり)」
も収録されています。

ジミ以外の二人も個性的なプレイを聴かせる。
もともとはギタリストで、エクスペリエンスに入るまで
ベースは弾いたことも無かったという
ノエル・レディングは粘着質なグルーヴがあり、
ミッチ・ミッチェルは手数が多くスピーディーなプレイで
ジミと競い合うかのようなドラムを叩く。

ちなみにイギリス盤とアメリカ盤では収録曲、曲順、
共に異なる。
日本国内盤もその時期によってイギリス盤に基づくもの、
アメリカ盤に基づくものがあり、
私のはアメリカ盤に基づくもの。

・Axis: Bold As Love(1967/2nd/国内CD)

好き度★★★★
本作もまたコンパクト、かつポップな曲が並ぶ構成。
ワイルドなステージングで人気を博したジミだが、
同時にレコーディングにおいては
スタジオ技術を駆使した、ライブとは違った
作品作りに興味があったとされ、
そういった面が伺える。

特筆すべきは何と言っても名曲の⑥「Little Wing」。
わずか2分半ほどの小曲だが、
独特の和音構成や繊細なフレーズが
ぎっしり詰め込まれたバッキングはもはや芸術品。
ギターソロが始まったかと思いきや、
すぐフェイドアウトしてしまう意外さも心憎い。

・Electric Ladyland(1968/3rd/国内CD)

好き度★★★★
バンド初のLP2枚組(当時)であり、
エクスペリエンス最後のアルバム、そして
ジミ存命中にリリースされた最後のスタジオ・アルバム。
ゲスト・ミュージックが多数参加、
中にはエクスペリエンスでない形で
レコーディングされた曲もある。

2枚組という事もあり、長尺の曲も収録。
その代表が④「Voodoo Chile」で、
ブルージーなロックをベースに、
これまでアルバムではあまり収録されなかった
インプロビゼーションがたっぷり堪能できる。
なおこの曲でのキーボードは
トラフィックのスティーヴ・ウィンウッド、ベースは
ジェファーソン・エアプレインのジャック・キャサディ。
観客の声らしきものが聴こえるが、
これは後から付け足されたものらしい。

「Voodoo Chile」のエクスペリエンス・ヴァージョン
とも言えるのがラストの
⑯「Voodoo Child (Slight Return)」。
これまた代表曲で、多くのカヴァー・ヴァージョンも
生んだヘヴィ・ロック。
ここでの素晴らしいギター・サウンドもさることながら、
私がつい耳が行ってしまうのが
ノエル・レディングのベース。
まるでグルーヴする事を拒否するかのような、
ベターっとまとわりつくようなベースは、
呪術的にすら感じられる(曲後半ではそうでもないが)。

このアルバムを最後にノエル・レディングが脱退、
エクスペリエンスは解散しますが、
しばらくはジミとミッチは活動を共にし、その後
黒人だけで組んだトリオ、
バンド・オブ・ジプシーズなどで活動するが
’70年、27歳の若さで亡くなってしまいます。

ノエル、ミッチも亡くなっており
エクスペリエンスを経験した人は
誰もいなくなった。

ではでは、
お付き合いいただきありがとうございました!

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おざきゆうすけン家の棚no.136 THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE

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