こんにちは!

毎日のニュースに気が滅入ってしまう今日この頃。
せめて心にはいい音楽を!

という事で今回は・・・

ASIA (エイジア) U.K.

メンバー全員がプログレッシブ・ロックの分野で
十分な実績かあり、スーパーグループと言われました。

エイジアがデビューした1982年、私はまだ中学1年生で、
そういった歴史的なことはよくわかっていませんでしたが、
その音には大変な衝撃を受けました。
バンドは意外にも長い歴史を作り、現在も存続しますが、
私が所有するのは最初の2枚。ほぼリアルタイムで買いました。

・ASIA (1982/1st/国内LP)


好き度★★★★★
邦題『詠時感〜時へのロマン』。
パンク・ニューウェーブの台頭や、MTVの普及などにより、
長大な組曲などを得意とし、ジャケット・アートをも含めた
アルバム全体を芸術作品とする向きが多かった
プログレッシブ・ロック勢は古い時代の遺物のような
扱いを受けるようになります。

さらにMTVの影響力は大きく、ロックをアルバム単位でなく、
シングル中心の曲単位で楽しむものへとシフトさせます。
まあこれについては’50’~60年代のスタイルへと
戻った、とも言えますが。

そこへ登場した、プログレッシブ・ロックの強者たちによる
ニュー・グループの第一作。
一介の中学生だった私は、当時はただ
「すげえ~カッコイイ」と思っていただけですが、
今にして考えれば、
「プログレが新時代を如何にして生き抜くか」を
示したアルバムなんじゃないか、と思えます。
と同時に、「プログレはポップな音楽である」、とも。

アルバムにはポップで短めの曲が9曲並ぶ。
当時のファンや批評家たちの反応はどうだったのでしょう。
あまりの変貌ぶりにずっこけたのでしょうか。

しかしエイジアのデビュー時のメンバー、すなわち
・John Wetton (vo,b)
・Steve Howe (g)
・Geoffrey Downes (key)
・Carl Palmer(ds)
この面々が在籍してきたYES、KING CRIMSON、EL&P、UKなどの
音楽を聴いた上でこの1stアルバムを聴けば、
ちゃんと、しっかりプログレしてる!と私は思います。

そして、’70年代に隆盛を迎えたプログレもまた、
ポップな音楽だったのです。

つまり、各メンバーがそれまで培ってきたプログレとしての
演奏能力のノウハウを、とびっきりポップで親しみやすい
楽曲の中に目一杯詰め込んだのがこのアルバム、
というのが私の見解です。

かつて、長大で難解と思われる事も少なくなかったプログレも、
部分的にはかなりポップで親しみやすいところもあります。
要は、ポップで親しみやすい部分とマニアックで難解な部分の
ブレンド具合だったのでしょう。

元々はポップなセンスも十分に持ち合わせていたメンバーたちが
徹底的に無駄な部分をそぎ落とし、純粋にいい曲を作り、
そこにプログレ的な小技をガンガンに入れていく。
そうして出来たのがこのアルバムなのではないでしょうか。

実際、ウイキペディアによれば、
全米ビルボード・チャートで第1位を9週間獲得し、
年間アルバム・チャートでもNo.1に輝いた、というほどの
大ヒットになりました。

収録曲について、私が拙い文章を書かなくても、
聴いていただければわかると思いますが・・・でも少しだけ。
①「Heat Of The Moment」のイントロは
何度聴いても胸が高鳴ります。
サウンドは’80年代仕様のゴージャスでドラマティックな
ものになっていますが、
Steve Howeのギターはらしさ全開ですよ。

・ALPHA (1983/2nd/国内LP)


好き度★★★☆☆
前作から1年と割と短いスパンで出た2nd。
1stの勢いをそのままに、たたみかけるつもりだったのでしょうか。
しかし・・・
 
なんだろう、第一弾シングルで、実際大ヒットもした
「Don’t Cry」の、このやっちゃった感は。
「ダサい・・・」が私の第一印象でした。
 
当時中学2年生だった私のまわりでは、
プログレのプの字も知らないような一般(?)の子たちまで、
「Don’t Cry」を知っていて「カッコイイよねー」
なんて言っていたが私は「う、うん、そうだね・・・」と
なんとなく話を合わせてしまってました。
 
1stアルバム同様に、ゴージャス&ドラマティックなサウンド、
衝撃的なイントロからポップなヴォーカル・・・と、
方向性としてはさほど変わらないと思うのだが???
 
他の曲はどうでしょう。聴き進めて行くと、
確かに上質なポップ・ロックであることは間違いない。
それもかなり高いレヴェルの。
 
しかし今回、この原稿を書くにあたって聴き返してみたが、
中学生だった38年前に「う~ん?」という感想だった理由は、
やっぱり【プログレっぽさが大きく後退した】
という点にあるのではないか、と改めて思いました。
 
決して悪いわけじゃない。繰り返すが上質なポップ・ロック作品だ。
ただ、前作に大きな衝撃を受け、圧倒された経験があるだけに、
肩透かし感があったのは否めない。
 
作曲クレジットを見るとSteve Howeの名前が無い。
何か力関係の変化があったのでしょうか。
それはそのまま音に表れていて、
かなりギターは控え目になった印象です。
それだけが【プログレっぽさの後退】の全てではないのでしょう。
1stで随所に見られたプログレっぽい仕掛けも
減っているように見受けられます。
 
②「The Smile Has Left Your Eyes(偽りの微笑み)」などは
曲としては最高のバラードで大好きなんですが、
別にASIAじゃなくてもいいと思ってしまいます。
この②を最も分かりやすい象徴として、
そういう曲のオンパレードなのだな、と思いました。
 
しかしCarl Palmerのドラムはいいね~歌ってるね!
元々リズム・キープはかなり怪しい人なんですが、
この人をそういう次元で語っちゃいけない(笑)
 
ASIAはこのアルバム発表後に初来日しますが、
私はその時のライブを見ています。
しかし、John Wettonの姿は無く、
同じくベーシストでヴォーカル、元EL&Pの
Greg Lakeに替わっていました。
その時の映像を収めたレーザーディスク(!)も持ってます。
 
その後、今度はSteve Howeが脱退、John Wettonが復帰するなど
メンバーの出入りが激しくなり、
私も次第にASIAに対する興味を失っていきました。
 
しかし後にオリジナル・メンバーでの来日を何度か果たしており、
そのうちの何度かは見に行きました。
とてもいいライブであったと同時に、
すげーバイタリティ、クオリティだなと感服しました。
さすがHowe師匠、マエストロ!
 
すでに鬼籍に入られたメンバーもいますが、
Steve HoweはいまだYESにて健在!
まだまだ、そのどこまでもファンタスティックなギターを
聴かせて欲しいものです。
 
私が師匠(勝手に)と慕うHowe師、どうかご無事で!
 
では、お付き合いいただきありがとうございました!
 
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