◆前回のブログ「作詞について」では,“1行目の牛”について書きました.
歌詞の1行目が自分にとって鮮烈なものであれば,あとはそれに乗っかって突き進む,というボブ・ディランの言葉からの造語でした.

◆ところでABC友の会のオリジナル曲『迷いなき意志を抱いてゆけ』(3rdアルバムに収録予定)では,

迷いなき意志を抱いてゆけ 無邪気に駆ける幼子のごとく

という1行目を書いた.そして,その勢いで書ききった感じ.やっぱり1行目だな,と痛感.

しかし!
別なことで困ったことが起きた.この曲はタイトルがなかなか決まらなかったのです.

タイトル・・・なんと悩ましい.

タイトルこそは作品の顔.
バンドでいえばバンド名.
商品でいえばパッケージ.

いろいろ悩んだ挙句,ドラムの日比野からのアドヴァイスで,歌詞の1行目からタイトルをとることにした.
タイトル『迷いなき意志を抱いてゆけ』

実際,イタリア・オペラなどでは,歌詞の1行目が曲のタイトルになるものがたくさんありますね.
オペラ『トゥーランドット』の中の有名な曲『誰も寝てはならぬ』などもそう.

◆真心ブラザーズの『Stone』という曲は,タイトルが曲の核心を強く表している.タイトルのお手本のひとつだと,俺は思う.

尿管結石という病気にのたうち回る男.
ある日,尿と一緒に先っぽから石が出て,苦しみから解放される.

生きてるって素晴らしい!
 街がきれい!
 人間っていいなー!

 全身に力がみなぎる
 テレビでも見よう!
 またひとつ俺は大いなる進化をとげた!

 神様っているんだね!
 幽霊とUFOもきっといるよ!

そう叫ぶ曲の盛り上がりで,本当にいい曲だなと思えます(ちょっと笑えるけど).
※放送禁止用語を連発するので,リンクは割愛します.

◆思うに,タイトルで勝負あり,って作品がありますね.
ジョニ・ミッチェルのアルバム『ドンファンのじゃじゃ馬娘』とか,
リンゼン・アンダーソン監督の映画『八月の鯨(くじら)』とか,
メリメ作の小説『エトルリアの壺』とか.

そういえば,宮崎駿監督が映画のタイトルに『何とかの○○』を意図的に用いた,というのは割とよく耳にするけど,語呂もいいし,空想をかき立てられるタイトルはとても多い.

そんなわけで(どんなわけか分からないが),
世の中に存在する,あらゆる作品のタイトルを注意深く見る,という姿勢も大切だなあと,
強く思う今日この頃です. Voトシミツ

作詞について(その2) タイトルについて Voトシミツ

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