no.195
PATTO(パトゥ)U.K.
ごきげんいかが?
ちゃんと秋がやってきましたね。
と思ったらもう寒いです!
季節の進み具合が急すぎ。
今日はパトゥです!
パトゥは1970年に結成されたイギリスのバンド。
一般的にはハード・ロック・バンド
として認識されているかと思います。
しかし一口にハード・ロックといっても千差万別。
パトゥの場合はマニアックというか、
相当に”通好み”と言えるんじゃないでしょうか。
ノリ一発、勢いで聴けてしまうような曲は少なく、
多くの場合仕掛けやフックと言える
展開が用意されている。
まず、変拍子が異様に多い。
規則的なものも、不規則なものもある。
この傾向は初期ほど顕著だ。
根底にはブルースがあるようだが
それをあからさまに前面に出すような曲は少ない。
凄まじい勢いで各パートがぶつかり合う
インスト・パートや、
独創的なコード進行や和音構成などは
ジャズからの影響だろうか。
以上のことから、非常にプログレッシブ・ロック的
とも言えるし、実際CDショップによっては
プログレのコーナーにある事もある。
デビュー時のメンバーは
・Mike Patto(マイク・パトゥ)vo,key
・Ollie Halsall(オリー・ハルソール)vo,key,Vibraphone
・Clive Griffiths(クライヴ・グリフィス)b
・John Halsey(ジョン・ハルシー)ds
の4人。
元々この4人はタイムボックスというバンドのメンバーで、
タイムボックスはキーボード奏者を加えた5人組だった。
’67年にシングルでデビューしていたが、
キーボードの脱退を機にバンド名をパトゥと改めた。
以後、解散まで同じメンバーで活動。
私はパトゥの4枚のスタジオ・アルバムは全部持っています。
では紹介していきましょう!
・Patto(1971/1st/国内CD)
好き度★★★★★
まず、耳を奪われるのはオリー・ハルソールのギター。
この人、知名度はあまり高くないかも知れないが、
上手い。超絶に上手い。
インプロビゼーション・パートで、
まるで縦横無尽に飛び回るように早いフレーズを
実に滑らかに弾きまくる様は圧巻!
さらに、キーボーディストとして、
さらにさらにビブラフォン奏者としても一流(多分)!
才人とはこういう人のことを言うんでしょうね…
バンドの二枚看板のもう片方は
ヴォーカルのマイク・パトゥ。
超絶ギターの影に隠れることなく、
自身の名をバンド名に冠するに
十分すぎる程の堂々たる存在感だ。
この人、地声がカッコイイんだよなあ…
独特のしゃがれ声でのシャウトは唯一無二!
先ほど二枚看板と書いたが、
ではリズム隊はおとなしいのかというと、
全くそんな事はない。
インスト・パートで弾きまくるギターに呼応するように
テンションを上げていく様はこのバンドの
大きな聴き物の一つになっている。
メンバー全員、技量は相当なものと思われます。
でもこのリズム隊、全然遠慮してないのに
どこかヴォーカルとギターを立てているように思う。
この辺のバランス感覚が絶妙なんだよなぁ。
楽曲的にも、パトゥの魅力がいっぱい詰まっている。
オープニングの①「The Man」からして
何拍子なんだかわからないリズム、
メロウな音色でムーディーなコードを奏でるギター、
中間部にはビブラフォンのソロもある。
終盤、一転してヴォーカルの熱いシャウトの連続で
曲は終わっていく…
いやー、しょっぱなにコレを持ってくるか。
このへんのセンスも並じゃない。
その他、比較的単純に聴こえるような曲でも、
さりげなく変拍子が使われていたり、
ちょっとコード進行が耳慣れなかったりする。
曲も非常にイイので、ソングライターとしても
とても優れているのでしょう。
当時、あまり商業的に成功しなかったようだが
名盤と言っていい一枚と思います!
・Hold Your Fire(1971/2nd/国内CD)
好き度★★★★★
ロジャー・ディーンがデザインした
ジャケットに包まれた2作目。
基本的には前作から大きく変わっていないが、
少し聴きやすくなっている。
タイトル・トラックの①「Hold Your Fire」は
マイク・パトゥの魅力全開!
ホント、この人の声カッコイイわ。
比較的ポップで単調な曲なのに8分以上もある。
本作中、最も長い曲だが全然長く感じない。
一見キャッチーな⑤「Give It All Away」も
実は複雑なリズムだしコード進行も凝っている。
しかし、サビの親しみやすさ、
ヴォーカルのカッコ良さでそんな事は感じさせない。
⑥「Air Raid Shelter」あたりは
このバンドの本領発揮だろう。
ムーディーなヴォーカル・パート、
豪快に弾きまくるインスト・パート共に
ジャズ・テイストがあふれる。
超絶変態ギターソロが圧巻!
早いテンポのポップ・チューン
⑦「Tell Me Where You’ve Been」は珍しく
ハルソールのギターをツイン・ギター風に左右に配置。
歌のバックでもちょいちょい小技を挟んでくる様が
よくわかり、面白い。
⑧「Magic Door」はゆったりとした壮大なサビが印象的。
こういうタイプの曲はこのバンドには珍しいかも。
プレイばかりでなく曲の良さもある事がよくわかる。
・Roll’em Smoke’em Put Another Line Out(1972/3rd輸入CD)
好き度★★★★☆
前作まで在籍したヴァーティゴ・レコードと契約延長出来ず、
新たにアイランド・レコードと契約して
リリースされた3作目。
ややファンク寄りな曲調が増えた。
またハルソールはギターと共にキーボードも
弾きまくりだ。
①「Flat Footed Woman」も前作のオープニング曲同様、
割と単純な造りなのに8分超と長い。
でもやっぱり歌、演奏がいいので全く感じない。
②「Singing The Blues On Reds」は
今までにない超ファンクな曲調だが
中間部はいきなりプログレっぽくなる。
やはり一筋縄ではいかないようですね。
③「Mummy」なんか完全にお遊びだし、
珍しくストレートなハード・ロックの
④「Loud Green Song」なんかもわざとやってるっぽい。
全体的にコーラスが増えているが、
どことなくビートルズを感じるのは私だけ?
ちなみに私の持っているのはBBCセッションの音源など
多数のボーナストラック入りの
エクスパンデッド・エディションでした。
・Monkey’s Bum(1973/4th/輸入CD)
好き度★★★★☆
’73年にレコーディングされたものの、
発売されることなくお蔵入りとなっていた4作目。
後に発掘音源として発売された。
作を重ねるごとに聴きやすさは増し、
本作は全アルバム中最も親しみやすいと言える。
前作で見せたファンク色は後退し、
ストレートなハード・ロックが中心。
しかしパトゥらしさは失われておらず、
⑧「Hedyob」あたりはこれぞパトゥといった感じ。
またバラードの⑤「Good Friend」は
単純に曲の良さに酔える。
本作製作中にハルソールが脱退、
アルバムも陽の目を見ず、バンドは解散するが、
’75年、パトゥとハルソールは共にボクサーを
結成することになる。
しかし’79年にはパトゥが、’92年にはハルソールが
共に若くして亡くなっている。
ではでは、
お付き合いいただきありがとうございました!
ABC友の会公式HP
http://abc-tomonokai.com/
ABC友の会公式Twitter
https://twitter.com/abc_tomonokai
