no.191
OSANNA(オザンナ)ITALIA
ごきげんよう!
さあ今回はオザンナですよ。
イタリアはナポリ出身のプログレッシブ・ロック・バンドで、
デビューは1971年。
そもそもがマニアックになりがちな
非英語圏/ヨーロピアン・ロック/プログレの中にあって、
オザンナは有名な方だと言っていいでしょう。
特に2nd『ミラノ・カリブロ9』や
3rd『パレポリ』は高い評価を得ています。
そのサウンドは、ジャズやブルースのエッセンスを
前面に出しながらも、非常にハード&ヘヴィで、
なおかつダークな世界観を感じさせるもの。
混沌と狂気にあふれ、
しかし美しさも合わせ持つサウンドは
しばしばキング・クリムゾンが引き合いに出されるが、
オザンナはさらに呪術的な雰囲気も持つ。
手数が多くジャズの色濃いドラム、野太いベースに
鬼才ダニーロ・ルスティチの怒涛の弾きまくりギター、
エリオ・ダーナの文字通り吹き荒れる管楽器類。
そこにイタリアらしい伸びやかなヴォーカルが絡む。
さらにビジュアル面でも、
顔に異様なメイクをしてライブを行っていた。
それは後のKISSのような
エンターテインメント性の高いものではなく、
より一層呪術的なイメージを増幅させるに
一役買っていたものと思われる。
デビュー時のメンバーは
・Lino Vairetti(リノ・ヴァイレッティ)vo,key,g
・Danilo Rustici(ダニーロ・ルスティチ)g,key
・Elio D’Anna(エリオ・ダーナ)flute,sax
・Lello Brandi(レロ・ブランディ)b
・Massimo Guarino(マッシモ・グアリノ)ds
の5人。
1971年のデビューから’74年までに
4枚のアルバムを発表。
私はその4枚は全て持っています。
ではそれらの作品を紹介していきましょう!
・L’uomo(1971/1st/輸入CD)
好き度★★★★☆
L’uomoとは「男」という意味。
録音はとてもシンプルだが、
それでも邪悪で混沌としたオザンナの音楽世界が
十二分に表現されている。
オープニングの①「Introduzione」の、
美しいアコースティックギター調べに続くのは
ノイジーなエレキギターのカッティング、
そしてジャジー&ブルージーなリズム隊、
さらに唸り声を上げながら吹き散らかすフルート。
この静と動、美と狂気がオザンナの魅力!
歌詞はイタリア語の曲と英語の曲が混在し、
当初からワールドワイドな成功を目指して
いたことがうかがえる。
混沌と狂気だけがオザンナの世界という訳ではない。
英語詩で、わりとありがちなブルージーなリフを
奏でられると、それはそれで
ブリティッシュ・ハードロック風味で面白い。
・Milano Calibro 9(1972/2nd/国内CD)
好き度★★★★☆
ニュー・トロルスの『コンチェルト・グロッソ』シリーズを
手掛けた作曲家・アレンジャーの
ルイス・エンリケス・バカロフによる、
こちらもまた映画のサントラとして
制作されたオーケストラとの共演アルバム。
トロルスの場合もそうなのだが、
オザンナのようなヘヴィで混沌としたバンドは、
オーケストラとの共演には不向きでは?
とつい思ってしまうが、
意外に独特の世界が出来上がっている。
むしろ、バカロフの狙いはそこなのか?
全体を通して聴くと、
意外にもオーケストラ(ストリングス)の存在感は薄い。
大々的なのは1曲目くらいで、
あとはちょぼちょぼ入っている程度。
主役はあくまでもオザンナの暴力的な演奏だ。
サントラという事で制約が多いのか、
曲がぶつ切りになっている感は否めないが、
④「Variazione II」では本格的プログレ的展開が
楽しめる。
個人的には、ラストの⑩「Canzona」が、
感動的なバラードなのだが
やや取って付けた感があること、
そしてストリングスが薄っぺらいのが惜しい。
・Palepoli(1973/3rd/国内CD)
好き度★★★★★
数あるイタリアン・ロックのなかでも、
最高峰に位置すると讃えられるものの内の一つ。
と同時に、商業主義的な作品ばかり追っていたのでは
絶対に出会えない音楽でもある
(産業ロック批判じゃありませんよ!念のため)。
収録曲は、2部に別れたタイトル曲と
アナログではB面全てを使った
「Animale Senza Respiro」のみ。
タイトル曲「Palepoli」の
1部「Oro Caldo」と2部「Stanza Citta」
の切れ目はいくつか解釈があるようで
どれが正解なのかよくわからない。
しかしまあ、全編狂気に満ち溢れた、
暴力的で禍々しい音世界が展開される。
超大作2曲という構成だが、
どちらもいくつかのパートに分かれている。
それぞれに関連性や組曲的仕掛けなどの
つながりはあまり無く、
気がつくともう別の世界へと
連れまわされているような感覚におちいる。
①「Oro Caldo」の冒頭からして、もう異世界だ。
どこかの国のお祭りか宗教的儀式のようなSEから
シャッフルのロックへ、さらに叙情的なパートへ
飛んだかと思えば今度はメロトロンの壁。
それをぶち破るエレキギターに導かれるのは
まるで破壊の限りを尽くすような怒涛の演奏。
この曲を聴いて私は初めてフルートが
激しい奏法もあるんだと知りました。
もともと静と動の落差の大きいバンドではあったが、
本作ではさらに拍車がかかっている。
一瞬ホッとできるような静かで美しい場面も、
ここまで極端に落差をつけられると
逆に禍々しさを感じてくる。
全編、こんな感じ。
まあ、凄いアルバムですよ。
・Landscape of Life(1974/4th/国内CD)
好き度★★★★★
前作『Palepoli』発表後、
ルスティーチ、ダーナの2人はイギリスに渡り、
よりワールドワイドな活動を目指して
バンド”UNO”を結成、同名アルバムを発表。
その後イタリアに戻り制作されたのが本作、
邦題は『人生の風景』。
いったん渡英して戻ってきた二人の
モチベーションは果たしてどうだったか?
実際、本作に対しては”ポップになった”、
“平凡だ”といった評がやや多い気がする。
英語詩の割合が増えた事も、
そういう印象を深めているかも。
けど私は好きなんすよね~
最初に聴いたオザンナのアルバムだという事も
あるかも知れません。
確かにだいぶ聴きやすくはなっているものの、
これでやっと一般のプログレ・バンド(変な言葉!)
のアルバムくらいの感覚では?
前作までが濃密すぎる。
それに何と言っても①「Il Castello Dell’es」
のインパクトだ。
やや深遠なイメージのヴォーカル・パートから
お得意の、急激にMAXまで聴く者を強制連行する展開。
ここでもまた破壊の限りが尽くされる。
また④「Fog In My Mind」もだいぶ
聴きやすくはあるが同傾向の曲で、
リズムが暴走気味なのがまた何ともカッコイイ。
ラストの⑥「Fiume/Somehow, Somewhere, Sometime」は
典型的なプログレ大作。なんか安心する(笑)
…ここまででいったんオザンナは解散、
ルスティーチ、ダーナの2人は再びイギリスに渡り
“NOVA”を結成。
残ったメンバーたちは”CITTA FRONTALE“を結成。
このバンド名はオザンナがメジャーデビュー前に
名乗っていた名前だった。
オザンナは’78年に再結成してアルバムを発表。
その後も断続的に活動し、
2000年代に入り来日も果たした。
ではでは、
お付き合いいただきありがとうございました!
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