no.157

LE ORME(レ・オルメ)ITALIA

どもー

今回はイタリアから、レ・オルメをご紹介!

レ・オルメは数ある日本に紹介された
ロック・バンドの中でもそこそこ知名度が
ある方だと思います。

特にキーボード・トリオの、EL&Pばりの
プログレッシヴ・ロック・バンドとして
広く認知されているかと思いますが、
実は時期により編成や音楽性も変化しています。

結成は1966年頃と古く、
アルド・タリアピエトラ(g,vo)を中心とした
4人組だった。
’67年にはシングル・デビュー。
直後にドラマーの交代とキーボーディスト、
トニー・パリューカの加入があり5人組となった。

初期はブリティッシュ・ビートの影響色濃い
サイケ・バンドでした。
その1stアルバムから紹介していきましょう!

オリジナル・アルバム

・Ad gloriam(1969/1st/輸入CD)

好き度★★★☆☆
ジャケットを見れば一目瞭然の、
サイケに彩られた一枚。

この時のメンバーは
・アルド・タリアピエトラ(g,vo)
・ニーノ・スメラルディ(g)
・トニー・パリューカ(key)
・クラウディオ・ガリエッティ(b)
・ミキ・デイ・ロッシ(ds)
の5人。

もうホントにビート/サイケで、
ところどころにピンク・フロイド、
ムーディー・ブルース、トラフィック、
はたまた同じイタリアのフォルムラ・トレあたりを
想起させる部分があるが、
こっちの方は遥かに地味。

アルドのどこか頼りなげなヴォーカルは
特徴と言えば特徴。

私的にはタイトル・トラックの
②「Ad gloriam」がなかなかに好きです。
もう、色んなバンドやアーティストたちが
使い倒しに使い倒した”よくある”コード進行の曲だが、
それだけにちゃんと聴かせるにはセンスが必要。
この曲は雰囲気もあって私は好きです。

・Collage(1971/2nd/国内CD)

好き度★★★☆☆
スメラルディ、ガリエッティの脱退があり、
タリアピエトラがベースにコンバートする事により
キーボード・トリオ体制となって最初のアルバム。

その編成から、「イタリアのEL&P」
なんて言われる事もあったが、確かに
それを彷彿とさせるような、最小編成ならではの
自由度の高いスリリングな演奏も聴かせるように
なったが、元々オルメは演奏力で圧倒するような
技量は無いみたいで、本家に比べたら
はるかに”ユルい”。

しかし、このバンドには”歌心”がある、と思うのです。
どこか清々しく、ほのぼのとした牧歌的なメロディーは
バンドの最大の魅力。
それは1stから一貫して、
プログレ化が進んだ本作でも変わらない。

これは余談ですが、
よく分からないジャケット写真だ。
何か宗教的な意味合いがあるのだろうか?
何故か白塗りだし…
実は、現物を手にするまで、
『校舎を背に写るテニス部の学生』というテイの
写真だと思っていました。
本作を紹介する雑誌の記事等に添えられた小さな写真だと
中央の人物の持ち物がラケットに見えたから…💦

・Uomo di pezza(1972/3rd/輸入CD)

好き度★★★★
ソングライティング、演奏力ともに
格段の進化を見せる3作目。
日本盤も発売され『包帯の男』という邦題が付いていた。
ファンタジックなジャケット・アートもいい。

EL&Pのような、キーボード・トリオの
プログレッシヴ・ロックが好きな人なら
きっとアルバムのしょっぱな、
①「Una Delcezza Nuova」の冒頭部分で
心をグッと掴まれるでしょう。私もその一人!

そしてオルメのもう一つの魅力が、
②「Gloco Di Bimba」のような、
たおやかで牧歌的な、歌心あふれる小曲。
彼らのアルバムにはたいがいこの手の曲が入っている。
アコースティックギターの響きが優しい。

③「Porta Chiusa」ではこれぞプログレ・トリオと
言えるようなスリリングな演奏も聴かれ、
かなりカッコイイ。

・Felona e Sorona(1973/4th/輸入CD)

好き度★★★★★
一般的に最高傑作とされている4作目。
私も同意します。

広がりのあるキーボードの音色、
持ち前の歌心全開のソングライティングが
うまくブレンドし、ひとつのピークを迎えた
バンドの瞬間を捉えた一枚と言えるでしょう。

国内盤も発売され、『フェローナとソローナの伝説』
という邦題が付いていた。
フェローナとソローナという架空の惑星の
織りなす物語を音楽で表した
コンセプト・アルバムとなっている。

一緒にツアーを回った事のある縁で、イギリスの
ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターの
ピーター・ハミルによる英語詩で
英語版も発売された。

シンフォニックな出だしからダークな世界へと
飛び込む①「Sospesi Nell’ incredibile」、
いかにも彼ららしい牧歌的な②「Felona」、
美しい③「La Solitudine Di Chi Protegge Il Mondo」
と繋がる流れは見事。

他にも⑦「Ritratto Di Un Mattino」
などにも聴かれるようにイタリアらしい
美しくたおやかなメロディに満ちあふれている。

ラストの⑨「Ritorno al nulla」では
焦燥感たっぷりに終末へ向けて突っ走る。
そしてエンディング、最後の一音。
この一音のためだけにフル・オーケストラ
(に聴こえるんだけど、違うのかな?)
を使うという贅沢。
もし本当にオーケストラだとしたら、
このアホさ加減←(ホメ言葉ですよ!)
が最高にロックだ。

 

2016年には、何とリメイク盤がリリースされた。

・Contrappunti(1974/5th/輸入CD)

好き度★★★★
プロデューサーのジャン・ピエロ・レヴェルベリを
正式メンバーとし、4人組となったが、
この人は何か楽器パートを担当するわけじゃないのかな?
基本的には前作まで同様、
キーボード・トリオ・スタイルの
プログレッシヴ・ロック。

①「Contrappunti」でのスリリングな演奏は
文句なくカッコイイ。

ラストの⑦「Maggio」はライブでも定番と
なっていたようだ。
何やら不穏な冒頭部分から始まり、
一気に広がりのあるコード進行とシンプルな
“ドレミファソラシド”を組み合わせた
明るいパートへとなだれ込む展開は
思わず「上手い!」と唸るほど。
三拍子系で作られたフレーズに、
8ビート風のドラムを被せるのもまた巧い。

バンドを代表する名曲だと思いますが、
これはあくまでも個人的な好みですが
中間部のムーグ・シンセサイザーみたいな
単音キーボード・ソロはない方がいい気がします…

編集盤

・”L’Aurora” Delle Orme(1970/輸入CD)

好き度★★★☆☆
参考にした資料によっては、
本作を2ndアルバムとして紹介している文章も多く、
どっちなんだろうなーと迷ったが
頼りにしている某web百科事典に準拠し、
編集盤としました。

という経緯があるように、本作は
デビューからオリジナル・アルバム2作目
『Collage』までの間にシングルのみで
リリースされた曲を集めたもの。

基本的には初期の特徴であるビート/サイケ調だが
シングル集だけあって(?)
結構バラエティーに富んでいる。

タイトル・トラックの①「L’Aurora」は
ストリングスを大々的にフィーチャーした、
イ・プーばりの壮大なロック。

その他、ところどころにキラリと光る
フレーズ、メロディーが散りばめられ、
単なる英米ロックの焼き直しかと
スルーしてしまうのはもったいないと思う一枚。
このバンドはとても歌心あるバンドですから。

ライブ盤

・Live Orme(1986/国内CD)

好き度★★★☆☆
日本国内でのみ発売された2枚組ライブ・アルバムで、
録音時期は’75~’77年頃。

レ・オルメについて書かれている文献で
よく目にするのが、「演奏力貧困」という評価。
つまり上手くない、下手くそ、という事。

スタジオ盤を聴く限り、それはほとんど解らない。
スタジオ盤というのは出来るまで何度でも
やり直しがきくし、切り貼りも出来るので
なんなら再現不可能なフレーズだって作れてしまう。

しかしこのライブを聴いて、なるほどと思った。
確かに上手くは無い。
でも聴くに耐えないほどじゃなかった。
あえて言うなら、いまひとつ演奏に
深み、余裕みたいなものが無いかな。

元々、テクニックで圧倒するようなタイプの
バンドではないのでライブで音が薄くなったとき、
それをカバーするような迫力や勢いが
足りないのでしょう。

いずれにせよコレクター向きのアイテムだが
面白いのは、ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」や
ジェスロ・タルの「アクアラング」のさわりを
演ったりしているのもそのまま収録している事。
この時はギタリストを加えた4人編成となっている。

私が持っているのはここまで!

バンドは以降も編成も音楽性も変化させながら、
中心人物のアルド・タリアピエトラが抜けた今も
存続しているようです。

ではでは、
お付き合いいただきありがとうございました!

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おざきゆうすけン家の棚no.157 LE ORME

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