ギターおざき

 

こんにちは!

コロナ禍に豪雨被害、思わず下を向いてしまうような

ニュースが重なりますが、それでも明日は来ます!

前を向いていられるように頑張りたいと思います。

 

24回目となる今回はこちら!

ANCO DEL MUTUO SOCCORSO
(バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ) ITALIA

長いバンド名は、「共済銀行」という意味らしいです。
短縮してBANCOと表記される事もあり、
正式名をBANCOにしていた時期もあるようです。
ここではこれ以降BANCOと短縮させていただきます。

イタリアには優れたプログレッシブ・ロック・バンドが数多くいます。
PFM、アレア、オザンナ、ニュートロルス、
ラッテ・エ・ミエーレ等々・・・
どこか哀愁があり、クラシカルな旋律を持ち、
情熱の国らしく時には暑苦しいくらいの演奏。

 

そんな特徴が日本人の好みに合うのか、
非英語圏ロックのなかでもイタリアものの国内発売数って
多い気がします。
(あくまで私好みのジャンル、年代で見る限りは)

 

そんな中にあってこのBANCOは、
他のバンドとは一線を画す、独特のクールさがあります。
演奏テクニックはもちろん素晴らしいのですが、
暑苦しさがありません。
クラシカルな場面も多々あるのですが、よくありがちな
キーボードの洪水みたいにする事は少ないです。

 

また煽情的に、過剰に盛り上げるアレンジもあまりありません。
ヘヴィーな場面でも、やはりどこかクール。
そんなBANCOの特徴が最も良く表れているのがこの
1stだと思います!

 

・Banco del Mutuo Soccorso (1972/1st/輸入CD)

好き度★★★★★
1972年当時は貯金箱型の特殊変形ジャケットで発売されたという1st。
’70年代初期のイタリアのロック・アルバムって、
どこかくぐもったような音質のものが多いのですが
(それもまたアンダーグラウンド感があっていいのだけど)、
本作は非常にクリアーで分離も良い。
この音質もまたクールさにつながっているのかも。
 

制作時のメンバーは
Francesco Di Giacomo (vo)
Marcello Todaro (g)
Vittorio Nocenzi (key)
Gianni Nocenzi (key)
Renato D’Angelo (b)
Pierluigi Calderoni (ds)
の6人。

Nocenzi兄弟によるダブル・キーボードを中心に、
クラシックやジャズの素養も感じさせながら
非常にソリッドなギター、ベース、ドラムス。
そこに唯一無二の存在感、声質を持つ巨漢ヴォーカリスト、
Francesco Di Giacomoのオペラやカンツォーネを思わせる
スケールの大きい声が加わってBANCOの世界は完成する。

導入部的な「In Volo」に続く②「R.I.P.」は
意表を突くアップテンポでハードなナンバー。
10拍で1パターンのリフがカッコいい名曲!
 

④「Metamorfosi」ものっけから変拍子リフが炸裂する。
インスト・パートが続くがアドリブというよりは
アレンジされたもののように感じる。
終わり間際、壮大なヴォーカルパートの余韻を引き裂くように
現れるエンディングのヘヴィーなリフ。これもまた傑作(^^)

⑥「IL Giardino Del Mago」も静と動、目まぐるしく展開する、
18分以上に及ぶプログレ大作。
メロディが美しく、Di Giacomoの声によく合っている。
 

1stアルバムにして、完成された自らの世界を知らしめた
衝撃のデビュー作だと思います!

ちょっと本筋から逸れるんですが、この
Francesco Di Giacomoというヴォーカリスト、
大変申し訳ないのですが、
お世辞にも見た目がカッコいいとは言えません。
超肥満体に薄毛、かつロン毛・・・
しかしそのルックスのマイナス面をもプラスに変えています。
何せ、一度見たら忘れられないインパクトの強さ!
バンドのアイコンにもなっています。

・DARWIN! (1972/2nd/国内CD)

好き度★★★★
陰鬱な導入部にそのまま続くヴォーカルパート後、
暗雲が迫るような重いシンセの音に導かれ、
アップテンポでハードな曲に変身するプログレ大曲
①「L’Evoluzione(革命)」がインパクト大!

②「La Conquista Della Posizione Eretta(征服)」で
聴かれるシンセの音もまたぶ厚い!
しかしやはり過剰な演出はせず、パーカッシブなピアノが
全体を引き締めています。
 

洒落たワルツ③「La Danza Dei Grandi Rettili(卑劣漢の踊り)」
を経て④「Cento Mani, Cento Occhi(100の手と100の瞳)」は
緊張感と不安感を煽るイントロ~ヴォーカルパートへの
流れがカッコいい!
Di Giacomoとは別人と思われるヴォーカルを経て
シャッフルになだれ込む展開も唐突だがそれもまたいい!

⑤「750.000 Anni Fa… L’Amore?(75万年前の愛)」は
ヴォーカルのメロディが素晴らしいバラード。
本作の中ではわかりやすい作品。

全体を通しての印象は、前作よりもやや難解な方へ行っている
かも知れません。
緊張感、不安感を煽る場面が増えていますし、
陰鬱なイメージも強いです。

しかしよく整理されたクールな音像は健在!
本作もまた初期BANCOの名作と言えるでしょう。

 

・IO SONO NATO LIBERO (1973/3rd/輸入CD)

好き度★★★★
前作から続くアヴァンギャルドさを持ちながら、
さらに洗練された演奏が聴けるアルバム。
バンドとしての完全な次回作
「COME UN’ ULTIMA CENA(最後の晩餐)」へ通じる
サウンドも多々感じることが出来ます。

15分に及ぶ大作①「Canto Nomade Per Un Prigioniero Politico」
は基本的に前作路線、緊張感と不安を煽りながらも
演奏はより洗練され、サウンドプロダクションと共に
時代が進んでいる事を感じさせる。

②「Non Mi Rompete」は、ホッと一息つける小曲ですが、
ここまで牧歌的な曲はこれまでにあまり無い一面です。
後にそういう曲が多く入ったアルバムも作るBANCOですが、
ここでその予兆が表れているようです。
 

③「La Città Sottile」もベースラインとヴォーカルが
カッコいい緊張感を醸し出すお得意の感じですが、
やはり前作までよりモダンな演奏、音作りです。

全体としては、1973年リリースという時代を考えると、
かなり進んだ音作りなのではないでしょうか。
最後は1stにも入っていた「Traccia」の続編、
「Traccia II」で幕を閉じます。

 

・COME UN’ ULTIMA CENA (1976/6th/国内CD)

好き度★★★★
邦題『最後の晩餐』。
このアルバムこそ、フランスのアンジュ『新ノア記』、
イタリアのイ・プー『ロマン組曲』と共に、
私に非英語圏ロックの扉を開けさせた1枚。
20才を少し過ぎた頃、ヴァージン・ジャパンより
国内盤CDが出ていて、フツーのCDショップの棚に並んでいたので
目に止まったのがきっかけでした。

3rdアルバム以後、英語歌詞による国際デビュー盤と
映画のサントラ盤を経て、3年ぶりのバンド形式での完全新作。

 

キリストの最後の晩餐をテーマとしたコンセプトアルバムで、
まあその辺の宗教的、歴史的背景や内容については
あまり、というかほとんど理解はしていないんですが、
そこは私はあくまでも音先行でプログレ、さらにロック全般を
聴いているのでそこはどんなアーティストに対しても
あまり違いはありません。

ただ、オープニングの
①「…A Cena, Per Esempio(晩餐にて)」の、
何か壮大な物語が始まりそうな雰囲気は十分感じます。
オペラチックなイタリア語のヴォーカルに初めて触れたときの
新鮮な感覚は今でも思い出されます。

②「Il Ragno(蜘蛛)」もポップにまとめられてはいるが
プログレっぽさはしっかりあります。

ヘヴィーなイントロから一気にたたみかけるハードロック調の
④「Slogan」はデビュー当時からのお得意のパターン。
緩急のつけ方もさすが。

⑤「Si Dice Che I Delfini Parlino(イルカのおしゃべり)」の
壮大なイントロにもあるように、作を重ねるごとに
管楽器の活躍する度合いが増してきています。

ピアノ、オルガンを軸としたジャジーでカッコいいイントロから
ヴォーカルラインが秀逸な⑥「Voilà Mida! (Il Guaritore)
(祈禱師)」、
 

アコースティックギターとティンパニーに導かれて
キャッチーなコーラスが続く⑦「Quando La Buona Gente Dice
(善良な民に聞け)」も短い曲ですが秀逸!

全体的な印象として、超大作は無いけれども
デビュー時からのプログレっぽさを存分に発揮しながらも、
各曲はコンパクトにまとめられ、非常に聴きやすいです。
BANCOの最高傑作との呼び声も高い本作は
ラスト⑨「Fino Alla Mia Porta(我が戸口まで)」の
美しいヴォーカルで締めくくられます。

しかし、やっぱりプログレの国内盤には曲ごとの邦題だよなあ・・・
それだけでもイマジネーションを掻き立てられるし
雰囲気が出ますよね。
余計な先入観とも言えなくもないけど💦
私は嫌いじゃないですね(^^)
 

・CANTO DI PRIMAVERA (1979/8th/国内CD)

好き度★★★☆☆
邦題『春の歌』
全曲インストによるアルバム『DI TERRA』を経て、
バンドとして3年ぶりの新作となった。

それまでの硬質で時には攻撃的ですらあった
プログレ・サウンドからすると、随分ソフトになったなあ、
という印象のアルバムです。

ポップで短い曲がズラリと並び、曲調も明るい。
のびのびとしたヴォーカルがよく生きていると思います。
全体としてはそういうイメージが強く、
プログレ的な印象は薄いかも知れませんが、
よく聴くとお得意の変拍子なども随所に散りばめられ、
聴きやすくてもしっかりBANCOらしさは感じられます。

シンセの音色が時代が進んだことを感じさせるし、
管楽器、パーカッションの多用とギターの存在感が薄いため
ロックっぽさは後退したように思いますが、
楽曲のクオリティは高く、さすがです!
 

企画盤?
・B.M.S./DARWIN (1991/輸入CD)

好き度★★☆☆☆
雑誌かなんかで、BANCOの新作が出る!しかも、
名作と名高い1st&2ndの新録音で、
1stで伝説の貯金箱型ジャケットを模したケース入り!
という記事を読んで、すぐに買いに走った記憶があります。

しかしその内容は・・・
あまりにもショボいシンセと打ち込みドラムの音に
ガックリ来ました。
それ以来ほとんど聴いておらず、
今回の聴き返しでもハードロック調の曲ほど同じ印象ですが、
バラード調の曲では、意外にこの時代の音でも
悪くないな、と思えるものもありました。

まあいずれにせよマニア向けのアイテム、
といったところでしょうか。

ではでは、お付き合いいただきありがとうございました!
 

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おざきゆうすけン家の棚no.24 BANCO DEL MUTUO SOCCORSO

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