第21回!

 

緊急事態宣言も解除されてだいぶ経ちます。
みなさま、ご無事でお過ごしでしょうか。
久々に更新します。
今回は・・・

ATOLL (アト-ル) FRANCE

フレンチ・プログレッシブ・ロックの
シンフォニック系ではANGEと二大巨頭的な存在。
ANGEのChristian Décampsとは対照的な、
Andre Balzaerの柔らかさと力強さを兼ね備えたヴォーカルを中心に、
シンフォニックな楽曲を時にフュージョンチックに展開するバンドです。

よく売り文句にの「フランスのイエス」なんて
書かれている事がありましたが、私が初めて聴いたときは
そうかなぁ・・・?と思っていました。
でも、今回の聴き返しで、あ、わからなくもないな、って感じです。
確かに力強いドラム、硬めの音色のベースは
そう感じさせる面もあります。

でもやっぱり楽曲はそうでもない気がするな~
では所有アルバムです!

・MUSICIENS MAGICIENS (1974/1st/国内CD)


好き度★★★★
とても完成度の高い、かつ聴きやすい1stアルバム。
親しみやすい①「L’Hymne Medieval(中世の讃美歌)」から、
メロディが素晴らしい組曲②~④「Le Baladin Du Temps
(化金石のアルペジオ)」に至る展開は見事。

あっ!⑥「Au-Dela Des Ecrans De Cristal(クリスタル・スクリーンの彼方)」
のイントロのベースはYESの「Roundabout」そのものじゃないか!
でもそこだけ。あとは全然似てません。

しかしこの国内盤、全曲に邦題がついている・・・
考えるの大変だったでしょうね。

さらにスリリングな⑦「Le Secret Du Mage(魔術師の秘密)」、
ムーディな⑧「Le Berger(羊飼い)」と聴きどころいっぱい。
ラスト⑨はヘヴィーなイントロからいかにもプログレっぽく
展開する大作。

1974年と、ある程度プログレがスタイルとして固まりつつある
時期のデビュー/リリースだからか、
1作目からかなり完成された印象を受けるアルバムです。
やはりAndre Balzaerの優しくも個性的な声質をメインに、
シンフォニックなサウンドが楽しめるアルバムだと思います!

・L’ARAIGNEE-MAL (1975/2nd/国内CD)

好き度★★★★★
邦題『組曲/夢魔』。
キングレコードのヨ-ロピアン・ロック・コレクション・シリーズ中
最高のヒット作なんだそうです。
なので、一般的にもATOLLの最高傑作と言われることが多いです。

本作では、かなり演奏がフュージョンっぽくなっています。
この2ndから参加したChristian Beya(g)のカラーが
強く出たのかも知れません。
その活躍は目覚ましく、全編に渡りテクニカルに弾きまくっています。

それでも全体的にシンフォニックな響きが失われていないのは、
全面的にゲスト参加したヴァイオリニストのおかげか。

これから何かが起こりそうな気にさせる
①「Le Photographe exorciste(悪魔払いのフォトグラファー)」、
ほとんどフュージョンのインスト②「Cazotte No.1」を経て
③「Le voleur dextase(恍惚の盗人)」は
素晴らしいヴォーカル、繊細な楽曲と激しいインスト部分が
交錯する傑作。

シンフォニックなキーボードとパワフルなドラムスの
④「Imaginez Le Temps(思考時間)」から、
タイトルソング⑤「L’araignee-Mal」への流れもとても自然。
エレピの反復フレーズが心地良い。
そこからクロスフェードして入って来る⑥
「Les Robots Debiles(狂った操り人形)」の
ファンキーな7拍子はいかにもプログレっぽい!

そしてラスト⑦「Le Cimetiere De Plastique(プラスチックの墓碑)」
は最初は抑え目の演奏で入り、
その後劇的にシンフォニックに展開する大傑作!
メインテーマを1音ずつ上げて繰り返していく様は
まるで永遠に上昇していくようで、
この辺のアレンジはYESの「Awaken」に通ずるところがあります。
エンディングではChristian Beyaが弾きまくりでシメる!

vo、gだけでなくバンド全体の技量も相当なもの。
英米のバンドと比べても全く遜色ありません。

余談ですが、私の所有するCDはマスタリング時のミスなのか、
一度完全に音が終了したのち、
もう一度残響音が聞こえるんです(^^;)

・TERTIO (1977/3rd/国内CD)


好き度★★★★
邦題『サード・アルバム』。
①「Paris C’est Fini(パリは燃えているか?)」で、
これまでとは随分違った印象を受ける。
一言でいうと『シンプル』。
前作から2年を経て時代はパンク、ニューウェーブへと移った。
そういった背景も影響しているのでしょうか。
ハード&ソリッドなATOLLの一面を見ることができます。

②「Les Dieux Meme(神々)」では従来の雰囲気が帰ってきます。
ここでもまたvo.が素晴らしいのですが、
このアルバムでは高音でシャウトする場面が多く見られ、
これは顕著な変化です。

その後も聴き進めていくと、キーボード群が空間を埋めていて、
以外にシンフォニック。
しかし前作のフュージョン的な雰囲気も引き継いでいるため、
暑苦しさや大仰さは無く、どこかクール。
ラストの組曲「Tunnel(トンネル) Part I~Part II」では
再び①のようなソリッドな印象を強く残す。

ファンの間ではこの『サード・アルバム』こそが
ATOLLの最高傑作だとする向きも多いそうです。
4枚目のアルバム『Rock Puzzle』制作の頃には
何とイギリス人のJohn Wettonが参加していたこともあるらしい!

・L’Océan (1989/5th国内CD)


好き度★★☆☆☆
邦題『オーシャン』。
’79年の4th『Rock Puzzle』以降は解散したか活動休止したか、
とにかくもうすぐ’90年代といった時期にギターの
Christian Beyaを中心に再編されたATOLL通算5作目。
よく事情も知らず、ATOLLの国内盤だ!と何も考えず買いましたが、
Andre Balzaerの象徴的な声はそこにはなく、
時代なりのサウンドが展開する、
言い方は悪いけど、それなりの作品。
相変わらずChristian Beyaのギターはキレッキレで
聴きごたえはあるものの、時代を感じさせる
打ち込みやシンセの音は期待するATOLLサウンドとは別物、
と思ってしまいました。

今回はこんなところかな?

では、お付き合いいただきありがとうございました!
 
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おざきゆうすけン家の棚no.21 ATOLL

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